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弓場農場の年末公演盛大に=日米含め延べ900人来場=初バレエ作品や影絵芝居に挑戦

ニッケイ新聞 2014年1月7日
バレエのフィナーレ「祭り」

バレエのフィナーレ「祭り」

弓場農場(コムニダーデ・ユバ協会=弓場常雄代表)は昨年12月25、30の両日、「クリスマスの集い」を開催した。音楽、バレエ、芝居の3部構成となり、ブラジル内だけにとどまらず北米、日本からも観客が訪れ、のべ900人が年末の宴に酔いしれた。

25日晩、楽器演奏や歌で幕開けし、弓場勝重さんが独唱を披露した。サックス演奏をみせた辻義基さんも、「スポットライトを浴びるのはこの機会だけで、もちろん緊張するよ」と笑う。「80%くらいの出来かな。先生との共演はぶっつけ本番だったけどうまくいった」と満足の表情を見せた。

第2部では、バレエ団創設初期の代表演目である「輝かしき開拓者」を皮切りに、練習中の様子を描いた新作「レッスン」と「フィナーレ・祭り」の3作品を見事な完成度で披露した。代表の小原明子さんは「1年かけて新作をおろすが、まだまだ足りない部分ばかり」と厳しい一面を見せつつ、「次の公演のために見直さないとね」と気持ちを引き締めた。

第3部の芝居は「以前に行った紙での影絵劇を、今回は人間でやってみよう」という、ふとした発案にみんなが賛同。童話「3匹の子豚」を脚色した「さみしいオオカミ」は、11月から稽古が行われたが、初挑戦の影絵芝居は万事が難しかったという。

「影役の動きと、声役のナレーションが合わない」「表情がないため動きだけでは感情がうまく伝わらない」と最初は〃ひどい有様〃だったというが、練習を重ねるにつれみるみる上達した。3匹の豚に逃げられ「遊んで欲しいだけなのに」と嘆くオオカミの悲しみや、個性的な子豚らの性格に会場からは終始笑いが起きるなど、観客から好評をえていた。

演出等を担当した熊本由美子さんは「皆の協力があってこそ。ここでは一人一人がやれることをやって、助け合って劇やバレエが成り立っている」と誇った。

美大卒の高橋遥さん(28、愛知)は、一時滞在者ながら劇中の美術品製作に携わった。「手伝うことができて光栄です。とてもうまくいきました!」と達成感を感じた様子で語った。稽古中から見ていたある同農場滞在者は「本番ともあって熱の入り方が違い迫力があった」「アドリブも多くダンスにキレがあった」と声があがるなど、演者・観客ともに充実の内容だったようだ。

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