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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2014年3月19日

 先日、在聖総領事館の植田領事と話をしていて気なったのは、「再度デカセギ目的で訪日を希望する人は、当地でも希望通りの就職ができていないのでは」との言葉だ。

 12年に公開された、日伯間で揺れ動く日系ブラジル人の青年たちを追ったドキュメンタリー映画を観た際にも、海の向こうの故郷を思い、うまくいかなければあちらへ、こちらへと移動する青年の姿には、なんだか違和感が残った。それを〃健気に生きる群像〃と捉えてよいものかという違和感だ。

 「ここではだめだ」と思えば、別の場所へ移動することも、以前より簡単になった。〃移民〃自体に移動は付き物とはいえ、それをあまりに繰り返せば、ただの「逃げ」になってしまう。

 選択肢が増えることは良いことだが、いつ、どこに根を張るか――その決断こそが一番大事なことなのだろう。(宮)

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