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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2014年4月2日

 先日訪れたペルナンブッコ州のポルト・デ・ガリーニャスで、のん気に川のぼりをしていると、船頭がおもむろに「観光開発が進んで町が変化してしまった」と問わず語りを始めた。
質素な漁村が観光業で町に発展した反面、「都会や外国で豊かな消費生活を送る観光客たちを間近に見ながら育つ青少年たちは、お金欲しさに町を徘徊し、犯罪に手を染める者も少なくない」という嘆きだった。
セアラ州の漁村に住んで教育活動を行うある日本人女性も、「観光地化することで、現地の人が豊かな生活の味を覚えてしまい、お金を得るために何でもするようになる…」と心配していたのを思い出した。
観光客を呼び込むために現地がある程度変化していくのは仕方ないとしても、〃失うもの〃を最低限にする工夫も「開発」と同じぐらいに大切である―と痛感させる船頭の一言だった。(宮)

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