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今年も全伯虚子忌俳句大会=62人中1位は小斎棹子さん=「涯ての地に遺す碑虚子祀る」

ニッケイ新聞 2014年4月25日

熱心に互選を行う参加者

熱心に互選を行う参加者

 第22回全伯虚子忌俳句大会(サウロ・ベネビデス委員長=市長)が21日、リベイロン・ピーレス日伯文化協会で開催された。一位には「涯ての地に遺す碑虚子祀る」などを投句した小斉棹子さんが選ばれた。天気に恵まれた今大会には62人が参加し、句会を楽しんだ。同市役所と同文協俳句会の共催。

 サンパウロ市からのバスは8時半に同市役所に到着。「三日月の匂やかにして情あり」と刻まれた虚子碑は同敷地の日本庭園にある。例年通り虚子碑の前で献花式が行われ、宮崎アルリンド副委員長が「今年も開催できて嬉しい。素晴らしい句がたくさん出来るよう祈っています」と挨拶し、西川あけみさん(68、二世)と小斉棹子さん(77、北海道)が献花した。

 今回で3回目の参加となる柿木幸江さん(56、三世)は「昨夜はよく眠れなかった」と緊張した様子。しかし「今朝も小鳥のさえずりから一句閃いたの」と話し、大会への強い意気込みを感じさせた。

 会場には「花鳥諷詠」の横額や白椿が飾られた。11年に亡くなった中野ナポレオン秀敏元大会実行委員長の遺影も置かれ、大会創始者である同氏の遺徳が偲ばれた。

 開会式では先亡者へ1分間の黙祷が捧げられた後、レオニセ・モウラ副市長が「私たちは日系コロニアの事業を大切に思い、長く続くことを願っています」と挨拶し、星野瞳さん(96、島根)が「大会が開けるのもナポレオン君のおかげ」と同氏への感謝を述べた。

 今年の兼題は「虚子忌」「新涼」「新生姜」「コスモス」「秋灯」。特別選者は小斎棹子、野村いさを、杉本絃一、広瀬芳山、樋口玄海児、富重久子、星野瞳7氏が務めた。10時から正午までは投句された無記名の309句を参加者全員が回し読み、それぞれが気に入った五句を選ぶ「互選」が行われた。

 昼休みには、同会婦人部手作りの弁当が配布されたほか、村上肱川さん(77、愛媛)手製の梅酒も振舞われ、賑やかな昼食会となった。午後1時からの選句発表で披講士が選句を読み上げると、投句者は自らの俳号を名乗り上げた。

 順位は互選と特別選者選の合計得点でつけられ、1~3位までにはトロフィーが、4~18位には記念品が贈られた。参加者にはポインセチアの花とタオルがお土産として配られた。今回1位に輝いたのは特別選者の小斉棹子さん。「優勝は嬉しい。来年もまたみんなで集まって大会を開きたい」とトロフィーを手に笑顔で話した。

 特別選者が選んだ特選句は次の通り。小斎棹子選「手許より走る香きざむ新生姜」(児玉和代)、野村いさを選「おちこちにコスモス揺れる貨物駅」(橋鏡子)、杉本絃一選「秋燈下読む移民氏のうらおもて」(野村いさを)、広瀬芳山選「努力してリハビリ続け虚子忌かな」(不破史子)、樋口玄海児選「新涼の風に地の声水の声」(西山ひろ子)、富重久子選「コスモスやスカートはいて見たくなり」(西森ゆりえ)、星野瞳選「新涼の素肌に印度更紗巻き」(武田知子)。(敬称略)

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