ラヴァ・ジャット=コスタ容疑者釈放される=裁判は最高裁に移行か=パラナ州判事は猛反発=主犯らの出所は取消しに
連邦最高裁判所のテオーリ・ザヴァスキ判事は19日、連邦警察主導の「ラヴァ・ジャット作戦」で逮捕された元ペトロブラス供給部理事のパウロ・コスタ容疑者をはじめとする計12人の被告の釈放を言い渡し、同作戦で検察が起訴した八つの罪状の裁判も最高裁に移管するよう命じた。この作戦の一部に連邦議員が関与している疑いがあるため、裁判の管轄は最高裁との判断に基づいている。20日付伯字紙が報じている。
コスタ容疑者はパラナ州クリチーバの連邦刑務所に3月20日から収監されていたが、19日に出所した。同容疑者はマネーロンダリングや犯罪計画、贈賄の容疑がかけられている。また、同作戦以外でも、米国パサデナ製油所をはじめとした複数の製油所での不正疑惑でことごとく名前があがり、関与のほどが疑われている。
また、テオーリ判事は同時に「ラヴァ・ジャット」の主犯であるパラナ州の闇ブローカー、アルベルト・ユセフ容疑者をはじめ、他10人の被告の釈放も言い渡した。
テオーリ判事がこのような判断を行なった理由は、この作戦の一部に、アンドレ・ヴァルガス氏(元労働者党・PT、現在無所属)とルイス・アルゴーロ氏(連帯・SDD)の2人の下院議員が絡んでいたことだ。ブラジルの刑法では、連邦議員の裁判は最高裁で扱うことになっている。
パラナ選出のヴァルガス氏は、ユセフ容疑者が払った小型ジェット機でロンドリーナからパライバ州ジョアン・ペッソアに旅行しており、同容疑者の企業と保健省との間の不当に高額な契約を取り持った疑いもある。アルゴーロ氏はユセフ容疑者から賄賂を受け取った疑いが持たれている。
このテオーリ判事の判断を不服としたパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は、テオーリ判事に、麻薬売買などの罪状に関与した容疑者も釈放の対象となるのかなど、詳細な説明を求めた。ラヴァ・ジャットは主犯の拠点がパラナ州であるため、同州の連邦地裁が携わってきていた。
モロ判事は、主犯のユセフ容疑者やネウマ・コダマ容疑者には外国に巨額の口座を持っていることや、レネ・ルイス・ペレイラ容疑者も750キロのコカインの輸送に関与したことをあげ、釈放によってこれらの容疑者が国外逃亡する危険性も懸念している。
さらにモロ判事はヴァルガス氏に対する捜査が不足していると指摘し、容疑者の中にはヴァルガス氏には直接関係のない人もいることから、同作戦での最高裁管轄をどこまでにするのかに関しても疑問を抱いている。
同判事からの文書を受け、テオーリ判事は20日、容疑者を収監したままさらに調査することが必要との見解を示し、この日に釈放されると見られていたユセフ容疑者ら11人の釈放を見送るよう指示した。コスタ容疑者は釈放されたままだ。
最高裁は今後、ラヴァ・ジャット作戦のどこからどこまでを最高裁管轄にするかなどを判断する必要がある。