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【安倍首相来伯特集】ブラジル日本文化福祉協会=移民史料館で安倍首相が日系人と懇談=政治家、5団体、青年ら=県連日本祭り意義アピール

 安倍晋三首相は2日午後3時半、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会を訪れ、移民史料館を10分ほど視察した後、文協ビル9階にある史料館内で最初に日系政治家約30人、5団体代表、日系若者ら約40人とそれぞれ10分余り懇談した。世耕弘成官房副長官、木村太郎内閣総理大臣補佐官と共に訪れた。その後、大講堂で記念講演を20分余り行い、最後は来場者全員1100人余りと異例の記念撮影をした。


下議、州議、市長ら30人=山田市長「人生最高の瞬間」

ずらりと並んだ日系の連邦下議、州議、市長、市議ら

ずらりと並んだ日系の連邦下議、州議、市長、市議ら

 9階では、まず安部順二伯日連邦議員連盟会長(連邦下議)が政治家を代表して歓迎の意を表し、「日本移民が残した道徳観など、日系人として学んだ基本的な価値観を、次世代の日系人、ブラジル国民に繋いでいきたいと思っている」と語ると、首相は「安部会長は同じアベ一族ではないかと思っています」と返すと笑いが湧き、親密な雰囲気が漂った。
 首相は「短い時間ですが、史料館で移民の歴史を勉強させてもらった。最初の皆さんは大変なご苦労があったと改めて感じました。代を継ぐ中で、日本人は教育を大切にし、皆さんのように地域を代表する存在が出てきたことは本当に喜ばしい。日本人の勤勉さ、誠実さがブラジル人からの信頼に繋がった。日伯関係を更なる高みに引っ張っていくために、皆さんは我々にとって頼もしい友人です。皆さんの選挙の成功を祈念しています」と語った。
 さらに羽藤ジョージサンパウロ州議会副議長は、「日本以外で最大の日系人口を誇るサンパウロへ、ようこそ。94人の日系議員がいる。移民を通して両国が兄弟になった」と紹介し、「デカセギがノウハウや先端技術を学んで帰伯できるような役職に就けるようお願いしたい」と注文した。
 戦後移民で国内向けバナナの最多生産者・山田勇次ジャナウーバ市長も「人生最高の瞬間です」と前置きし、ブラジル盛和塾で学んだ稲盛哲学を市に還元することで、当地に恩返しをしたいと自己紹介した。首相は全員と記念写真を撮り、先頭の安部下議が「皆さん、この写真で当選できますよ!」と言うと、大きな笑いの渦が湧いた。


日系5団体と話が弾む=「史料館胸に迫るものあった」

5団体代表を前に「日伯の太い関係を作りたい」と語る安倍首相

5団体代表を前に「日伯の太い関係を作りたい」と語る安倍首相

 続いて日系団体代表と山口県人会との懇談に移った。まず木多喜八郎文協会長の挨拶し、続いてサンパウロ日伯援護協会の菊地義治会長は橋本龍太郎首相来伯(96年)を機に2億5千万円の支援を貰って特養老人施設「あけぼのホーム」を建設したお礼を述べ、援協の現状や方向性を説明した。
 さらにブラジル日本都道府県人会連合会の本橋幹久会長は、日本祭りの意義をアピールして支援をお願いし、東日本大震災被災者を招聘して講演会をしたなどの支援活動の経験を語った。

 別の日に県連からは首相宛の要望書が渡された。二つのお願いが書かれており、一つ目は、日本祭りを毎年確実に開催するための支援要請。次に日本語学習を義務とした二年間の長期研修提案が盛り込まれた。現行の県費留学制度等とは別に、安倍首相が力を入れる地域創生本部の枠組みの中での留学制度を提案したものだ。
 アリアンサの中谷アンセルモ会長が挨拶し、さらに山口県人会の要田武会長は「お父様が持って来られたレーザーカラオケを大切に活用させてもらっている」と御礼し、「山口の心を忘れないように頑張っていきたい」と述べた。
 首相は「史料館を見て胸に迫るものがあった。日本の大切な文化を守って行こうとされた姿をひしひしと感

背筋を伸ばして5団体代表の話を聞く安倍首相

背筋を伸ばして5団体代表の話を聞く安倍首相

じた。懐かしいものがあそこに詰まっている気がする。皆さんの努力によって日伯の友好の絆が結ばれている。私も皆さんの作ってきた土台の上に、日伯の新しい、もっと太い関係を作りたい」と述べた。


首相「青年の活躍に期待」=若者合同で提案を提出へ

首相の前に並ぶ若者団体の代表者たち

首相の前に並ぶ若者団体の代表者たち

 最後に日系若者6団体(外務省研修OB会、青年文協、ボーイスカウト、青年会議所、留学生OB会、インテルカイカンス)を代表して西村リカルド文協副会長が、「この出会いが関係活性化を催す特別な機会になることを願っています」と述べた。首相は「ブラジルの未来を担う皆さんと会えてうれしい。この国の面積は日本よりはるかに大きいが、皆さんの未来はもっと広い。世界的に活躍する中で、両国を結ぶ懸け橋の役割も果たしてほしい。日本の若者ともっと交流してほしい」との期待を述べた。

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