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パラグァイ=非常識な公務員の高報酬=驚くべき乱費に憤る国民=テレレ係りまで高給取り?!=坂本邦雄

 昔からパラグァイでは公正な官吏の人事制度が欠けていると云われていたが、元ゴンサレス・マキ政権(1999ー2003)の時代に法令第1620/00号を以って大統領府の直轄で省ランクの「SFP・公務員人事局」が設置され、一般公務員の職制の合理化が図られた筈であった。

 しかし、国家行政透明化を公約した現カルテス政権の登場で政府各省庁や外郭団体全ての夫々の当該実行予算、役職別人員数、報酬額、その他一切の関連事項の内容明細の公開を義務付けた法令第5189/14号が最近公布され、実施を見たところ、イタイプーやジャシレタ両国際水力発電所を始め各政府機関は、最初は何かと不服で反抗したが、結局は渋々ながら公表せざるを得ない顛末になった。
 そして、これ等の発表資料を見ると驚くなかれ「知性と良識の府たるべき国会」、又は正義の権化であるべき司法府も一様に骨の髄まで腐っている事実が判明したのである。
 元々、腐敗政治は有り得る事ながら、余りにも度が過ぎた「血税の浪費」の実態を知った民衆は、流石に怒って今月初週は国会前の広場などで抗議デモを繰返した。
 すなわち、善良な国民の怒りを買ったのは、一例を挙げれば国会上議院では給仕長、コピー係長、エレベーター係長など、物議的な管理職制を設け通常以上の高給支給の名目となし、又はイタイプー及びジャシレタ国際水力発電所の役員連の不道徳な天文学的報酬が次々と明るみに出された事である。

驚くべき特権高級公務員

 昔、筆者が学校で習った頃の話は、一般人はいかに高位の者でも給料は基本的に大統領の報酬以上であってはいけないのが常識だと教わったものだ。だが今のジャシレタやイタイプーの総裁は何とカルテス大統領の二倍、三倍の高給取りである。
 なお、その他の役職員も色んな福祉特典を含め羨むべき高給取りであり、運転手、受付嬢、電話交換手、左官、カフェーやテレレ係り(お茶くみ)等々に至っても大変優遇されている。
 これ等のいわゆる〃特権階級〃は、多くの場合法定最低賃金(1・824・055ガラニー)の何倍もの給料生活者であり、アスンシォン市及びそのセントラル県の近郊都市の経済活動人口55万人の中で、最低賃金相当の収入も稼げないでいる、26%にも達する低所得者の生活事情を思えば酷な話である。
 国庫が2008年度に公務員の基本給、慰労金、賞与として支給した40億ガラニーは、2013年度は何と100億ガラニー(23億2558万1395ドル相当)に膨れ上がった。
 この様な浪費は、政府の幾つかの機関において年に5回にも及ぶ法外なボーナスの支給を許した。政府がもし単に職員慰労金の予算を削っただけで少なくも1600キロのアスファルト舗装道路か、又は3万4千軒の庶民住宅が建設できる計算になる。

膨れ上がる公務員人件費

 この様な急激な公務員人件費の膨張は、元ニカノル・ヅアルテ・フルトス政権下の2004年に始まり、次いでフェルナンド・ルーゴ及びフェデリコ・フランコ両大統領(2008ー2013)の政権下で、「基本給、季節給、慰労金、賞与」の名目で頓に増幅され、2008年度に政府は人件費40億ガラニー(9億8757万7796ドル相当)を支出した。
 これがその後、5年間に公共インフラ投資を犠牲にする前述の100億ガラニー、即ち23億2558万1395ドル相当の財政負担になったものである。
 なお、当初の食費、教育費、学位、職務、年功の五つの各手当以外に不健康労働、危険労働、特別賞与、褒章金、不定期賞与などの手当が加えられた。
 そしてこれ等の支給に当たっては、杜撰そのもので、例えば受付の電話交換手に不健康労働手当を加給するなどの出鱈目が横行するのである。
 行政官庁での一例としてANDE電力公団のケースを挙げれば、運転手は賞与や慰労金を含めて月額1800万ガラニー(約4,200ドル相当)以上の収入である。
 一方、立法府、詰まり国会は職員の給与が近来最も改善された所であり、上院職員は平均1100万ガラニー及び下院職員は1千万ガラニーで、おのおの約300%増の高報酬を得ている。
 近年、国会において選任された機密費支給対象の役職は、2008年度の145件から2013年には2608件に急増しており、その多くは退職後も引き続き現給保証されている。これは「公務員人事局」の長官の話しでは違法であると言う。

1分間に1千ドル国費散財

 ちなみに、政府の公式データに依ればパラグァイ政府は、一分間に1千ドル相当の国費を散財している。これを政府がもし半日分だけでも節約すれば、薬も足りず治療も受けられずにいる哀れな150人の少年癌患者の施療を充分に施し得る勘定である。
 政府三権は毎年「国民の血税」を臆面もなく、手当、賞与、割増付加賃金の名目で無駄遣いしている。
 その年間本年度予算の内訳は、立法府814億5120万963ガラニー(3・95%)、司法府3258億5947万1391ガラニー(15・81%)、行政府1兆8539億1616万8447ガラニー(80・24%)で、合計は2兆612億2684万801ガラニーに達する。
 この浪費は月当たり3900万ドル、即ち一日当たり128万9314ドルになり、我が国の医療保険、教育改善、公共インフラ整備など幾多の緊急問題の対策事業に有効に活用でき得る貴重な金である。
 政権の座に着く事は私腹を肥やす早道と、心得ている怪しからぬ多くの政治家を相手に、カルテス大統領は国政の浄化に努めている訳だが、その抵抗の壁は中々厚くて苦労が多い。
 この8月で既に就任一ヵ年を迎えるカルテス政権だが、未だこれからの成果を大いに期待したい。

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