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折り紙極めたい=11歳雄一くん=『赤いドラゴン』=米国で高い評価=外で遊ぶより面白い=楽しく「高難度」に取り組む

2007年6月7日付け

 大好きな折り紙をもっと極めたい――。三歳から折り紙を始めた松下雄一くん(11、サンパウロ)の作品「古代ドラゴン(Ancient Dragon)」が、アメリカ合衆国内に七十四支部を持つ団体「Origami USA」の「子供折り紙コレクション」に選ばれた。四十七センチ四方の紙を用い、二百七十四回の過程を経て作られた赤いドラゴン。雄一くんのドラゴンは、全世界から集められた他の作品とともにニューヨークのドンネル図書館に展示されるほか、一年間、アメリカ全国の学校や博物館、図書館での巡回展示にも使われる予定だ。雄一くんは「うれしかったかなー」と、はにかみながら入選の感想を話した。
 雄一くんは、日本生まれの日系三世。日本の保育園で折り紙を習ったことがきっかけとなり、作品作りが始まった。
 母親のエルザさんは「最初はハンカチを使っていて、毎日のように折ったハンカチを持ち帰ってきたの」。四歳のころには本を見て、折り紙や切り紙で、五百個近い作品をつくったという。
 二〇〇〇年に帰伯したのちも雄一くんの折り紙好きは変わらず、折り紙の本を図書館で借り、インターネットを駆使して日本から取り寄せている。エルザさんは「一冊二百八十レアルの本を買ったわ」と仕方なさそうに微笑んだ。
 「どうして好きかわからないけど、外で遊ぶより面白い」と、雄一くん。自分で作品を創造することもあり、「最初は難しいけど慣れたらできる」と自信を見せる。
 毎月第一日曜日には、サンパウロ市サンタ・セシリア区にあるモンテイロ・ロバト図書館での、折り紙ブラジルの集いに参加。愛好家らと新しい作品作りに没頭する。
 エルザさんは「もっと本がほしいというから、困るのよ」。自身も二年ほど前から本格的に折り紙を始め、現在は、作品の注文を受け付けて折り紙作品の販売をおこなっている。
 雄一くんの子供折り紙コンクールへの出展は、折り紙USAの会員が噂を聞いて来伯時に同図書館を訪ね、雄一くんが折ったドラゴンを持ち帰ったことがきっかけ。雄一くんは「難しいやつをやりたかったから」と何度も練習を繰り返し、今回の入選につながった。
 ほかにも、雄一くんは、二〇〇五年、九歳のときに同図書館の館長に勧められて館内で、個人の折り紙展示会を開催。折り紙三百枚分の作品を展示した。
 また、二〇〇六年の国際ビエンナーレでは、アントーニ・ミラウダ氏の作品「味と舌(Sabores e Linguas)」の中に、折り紙でこしらえたレタス、目玉焼き、玉ねぎ、ソーセージなどを出展。同年十一月に日伯文化連盟(アリアンサ)が行った折り紙コンクールでは、多くを大人の参加者が占める創造部門で二位を獲得している。

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