ホーム | 日系社会ニュース | 会館売却の噂で臨時総会紛糾=妥協点なく声荒げる場面も=中央日本人会員が大挙出席=中山評議員会長「売ること考えてない」

会館売却の噂で臨時総会紛糾=妥協点なく声荒げる場面も=中央日本人会員が大挙出席=中山評議員会長「売ること考えてない」

 セントロの会館売却の噂で臨時総会紛糾?!――モジ・ダス・クルーゼス文協(幸村ペドロ秀樹理事長)は1日夜7時から同会館で、新定款の承認をえるための臨時総会を開いた。モジ中央日本人会の会員間に「会館売却のために定款改正をしようとしている」との噂が広まり、心配した会員が詰めかけ、異例の170人近くが出席し議論が紛糾する場面もあった。結局、妥協点が見いだせないまま次回へ持越しとなり、夜10時に閉会した。

多数出席した中央日本人会を代表して質問を重ねる藤井喜次郎さん

多数出席した中央日本人会を代表して質問を重ねる藤井喜次郎さん


 9月29日に編集部に電話が入り、「揉め事がある。現在は10会員から一人の評議員を選出する定款なのに、文協がそれを改正して各団体から二人ずつしか出せなくして中央日本人会の影響力を減らし、セントロの会館を売却しようとしているらしい」と伝え、「中央日本人会は文協の会館を使っている。でもこの会館建設時、その資金の大半を日会が捻出し、半永久的に使用していいと当時の理事長が許可した。僕らはここが無くなったら集まる場所がなくなってしまう」と切々と訴えた。
 臨時総会直前に中山喜代治評議員会長に噂の真偽を問うと「会館を売ることは考えていない。そのための定款改正ではない」と明言し、幸村理事長も「いつかは売るかもしれないが、先の話。まずは総合運動場の活用に力を入れ、将来的にあちらに本部会館を新築したい。今のままでは若者が集まらない。文協の生き残りを考えたら総合運動場の活用しかない」と説明した。
 「通常なら2、30人の出席しかない」(幸村理事長談)という臨時総会に、当日は167人(委任状含む)が出席した。議長を務めた中山会長に、中央日本人会書記の藤井喜次郎さんが落ち着いた態度で、ポ語での冷静な質問を繰り返した。
 同日会が特に疑問視しているのは「10会員に一人評議員を出す」規定が、新定款では「評議員会の定員を30人、補欠15人、元理事長を永年評議員」と変った点だ。現在約50人の評議員のうち、最多会員を誇る同日会は約30人の評議員を占めている。
 中山議長は「会員の増減で毎年評議員の数が変わるのは良くないし、評議員の会議出席率が低かった。意欲のある候補者から選挙で選ぶ形にし、責任を持たせた方が会議に出席するはず」と改正理由を説明した。
 対する藤井さんは「10人に一人は既得権。傘下団体が文協にどう代表を送り込むかという40年続いてきた伝統を尊重して欲しい。変えるべきは変え、残すべきは残してほしい」と主張し堂々巡りとなった。
 新定款作成に関わった平塚アンドレ範夫弁護士が「文協が所有地や建物を賃貸・売却等する場合は、必ず総会を開き、出席者の三分の二が承認しないとできないと新定款にある」と噂を否定すると「それなら理解できる」との声も挙がった。
 同日会の会員が「傘下団体から二人ずつしか評議員を出せない」と理解している点に関し、幸村理事長に確認すると「それは誤解。評議員には各団体から2人以上の候補者を出せる。一団体から30人を出すことも可能。選挙で票が多かった順に30人が当選する」と説明した。
 今回の背景には新定款に関する不理解と、文協役員に対する不信感が根底にあるようだ。幸村理事長に次の臨時総会の日程を訊ねると「年内はムリかも」と答えた。文協本体と傘下最大団体とのせめぎあいだけに、一筋縄ではいかないようだ。

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