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遺伝子組み換えへのささやかな抵抗

 スーパーで食品を手に取る時、まずは裏返して表記を読む。知識のない素人だから大したことは分からないが、産地や原料の詳細を見て一応吟味する。農薬に遺伝子組み換え食品、パッケージが日本語の中国産品、得体の知れない食品が出回っている。まずは注意を向けることが第一歩だと思う▼ブラジルは2008年に農薬使用量世界1位となり、「農薬大国」という不名誉な名を獲得した。単位面積あたりの使用量は日本の方が上だが、ブラジル人一人当たりの農薬消費量は年間平均5・2lというので、背筋が寒くなる思いだ▼1997年には遺伝子組み換え作物(GM)が当地に忍び込んだ。その代表格は日本にも大量に輸出されている大豆だろう。当地より一足先にGM大豆を取り込んだ亜国では、農薬散布による深刻な健康被害が問題になっている。これも対岸の火事ではない▼2013年には、ベトナム戦争で使われ、今は農薬として利用されている枯葉剤の主要成分「2,4―D」に耐性のある大豆の認可が検討され出した。まだ認可されたと聞かないので検討中と思うが、時間の問題かもしれない。特定の除草剤に耐性を持ったGM作物を作ってセットで売ることで、企業は大儲けというわけだ。GM食品の有害性は科学者の間でも意見がまちまちであり、結果的に一般市民はモルモットさながらの人体実験に晒されている▼国立アグロ・エコロジー協会によれば、ブラジルは全てにおいて規制が緩く、企業から有望市場と見られているとか。日本でも次々にGM作物が認可され、もはや抗いがたい時代の潮流という気さえする。店で手に取った商品を裏返す。それはささやかな抵抗なのだ。(阿)

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