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妙典寺で法要を執り行う英陽さん
妙典寺で法要を執り行う英陽さん

英陽さんが妙典寺を創建=日蓮宗初のブラジル人僧侶=創立2周年法要を開催

 「僧侶になって日蓮と仏陀の教えを広めたい」との一心から、日本で修行をし、寺まで創設したブラジル人がいる。アンデルソン英陽さん(42歳)は身延山久遠寺(山梨県)を総本山とする日蓮系最大の宗派「日蓮宗」初のブラジル人僧侶で、サンパウロ州サンミゲル・パウリスタ市の自宅二階に一乗山・妙典寺を建立し、住職を務めるという。「仏陀の教えを広めることが私の夢。東西南北、ブラジル全土、南アメリカのあらゆる場所で仏陀の教えが知られ、実践されるようになってほしい」。まだ拙い日本語を駆使しながらそう力説した。

英陽さん(左)と池永上人

英陽さん(左)と池永上人

 仏教との出会いは8歳の頃。網膜の病により16歳までほぼ失明状態が続いたことから、視力を失った苦しみを超克しようと宗教の本を読み漁ったという。仏教に出会った時の感動を、英陽さんは「仏教はすべての生きとし生けるものに仏陀になる機会を与えてくれる。だから、様々な宗教の中でもより神性を持つと思う」と語る。
 オフィスボーイから店の倉庫管理、日本菓子店や男性用アパレル店の補助など様々な仕事で生計を立てつつ寺を訪ね歩き、仏道への理解を深めた。サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区にあった南米日蓮宗ブラジル法華経寺で2007年6月、池永英清上人の下、得度し、その後5年間、東京都新宿区の常円寺でさらに修行を積んだ。
 「日本では全てが新鮮だった。6カ月必死に日本語を勉強した。ベテランの僧侶の助けで聖職者としても様々なことを学ばせて頂いた」と振り返る。

 3年前に帰国し、父母の金銭的支援により2万レ超を投資して、自宅の二階に妙典寺を建立。一乗山・妙典寺まだ参拝者は少ないが、毎日曜日午前11時から催す定期法要には毎回10人前後が訪れる。インターネットを通して妙典寺の存在を知った非日系が、リオから訪ねてきたこともあったという。
 仏教徒の少ないバイーアやリオにも赴き、勉強会を開くなどして仏教の普及に励む。「いつか常円寺と同じ寺を作り、みんなにプレゼントしたい。仏の教えを教えてあげたい」。日蓮宗初のブラジル人僧侶としての使命感に燃えている。
 5月10日午前11時から午後2時まで、同寺(Rua Chuva de Ouro, 71, Jardim Maia, Sao Miguel Paulista)で創立2周年記念法要が行われる。問い合わせは同寺(電話=11・2586・6678、97315・9001、サイト=www.facebook.com/templobudista)まで。

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