樹海

 ボーイスカウト(エスコテイロ)の大会である『第23回世界ジャンボリー』が先週末、終了した。山口県で開催され161カ国約3万人が参加した。日本での開催は1971年の静岡県以来。実に44年ぶりの第2回目▼コラム子も幼いころから、スカウト経験がある。奉仕活動などよりも、色々なサバイバル技術を覚え自分で計画を立てていくキャンプが楽しかった。時間を見つけては仲間とたき火を囲んだ経験は忘れがたい。とはいえ、ジャンボリーの魅力は別格だった。多感なころに、様々な国のスカウトたちと身振り手振りで、野外生活を通じて交歓し合う。ジャンボリーを通じて世界に興味を持ったといってもいい▼このたび参加したブラジル隊約700人のうち、多くが日系人だった。全スカウト数に対して決して多くはないのだが、父兄が熱心に活動に参加することが日系隊の違いだ。教育と捉え、計画的にイベントなどで積み立てをし、子供たちを送り出す。ジャンボリーというボーイスカウトの世界舞台において日系人の存在感はとても大きい▼ブラジル初の日系ボーイスカウトの歴史は、1953年に発足したカラムルー隊に始まる。戦後の勝ち負け問題で、混乱を極めた日系社会の行く末を案じた医師、細江静男が教育の一環として奔走した。お隣ということもあり、8月6日の原爆の日に多くのスカウトが広島に向かったことを思えば感慨深い▼もちろん、父祖の地を知る絶好の機会にもなったと思う。日本の酷暑でのキャンプは大変だったろうが、いい思い出になったはずだ。隣の仲間や、新たな友人の笑顔と共に。弥栄―。(剛)

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