ホーム | 日系社会ニュース | 国外犯処罰=フジモト被告に時効認めず=三審で一転、禁固刑を支持=特別上訴の連邦高等裁で=連邦検察庁まで意見書

国外犯処罰=フジモト被告に時効認めず=三審で一転、禁固刑を支持=特別上訴の連邦高等裁で=連邦検察庁まで意見書

 2005年10月、静岡県湖西市で女児が死亡した自動車事故で、事故後に帰伯し過失致死罪に問われた日系人パトリシア・フジモト被告に対し、連邦司法高等裁判所(STJ)は17日付で、禁固2年2月とした一審判決を支持する判決を下し、9月29日に公表した。昨年4月の時効判決から約1年半後、フジモト被告に再び「ブラジル司法による制裁」が科された。

 二審の時効判決に対しては、サンパウロ州検察庁が「特別上訴」をしていた。今回の判決文によれば、州検察はこの特別上訴の根拠として、刑法が定める量刑の条項に反しているとし、「(二審での判決では)犯行がどのようにして行われたかが検証されていない」とした。
 「罰則の適用には、犯罪の状況・事情、犯人の人格、有責性を考慮されるべきだが、特に今回の場合は、他国でのより重い制裁、自らが与えた損害を償う行為から逃れ、日本から逃げ帰ってきたこと、被害者遺族の心情を慮ることない完全な非情さで、自らの行為が招いた深甚な影響をできる限り軽減する試みをしなかった」。この特別上訴を、STJは受理した。
 判決文で、STJの報告担当判事はこの検察の訴えを認めた上で、「信号無視し、結果的に子供を即死させた。これは被告の極めて不注意な行動によるもので、信号無視はブラジルの法律では著しく重大な過失とみなされる」などとして断罪、「一審の判事は、(被告が)事故の捜査が終わる前に帰国し、日本の当局に何の連絡もしなかったという事実と、どのようにして犯行が行われたかを考慮した。その結果、2カ月を刑罰の期間に加えた。二審判決は、これらの事情が一切考慮されないものだったが、厳罰化する理由として十分である」と判断した。


【解説】事件から丸10年の節目=異例の上訴、意見書まで

 事故発生からまもなく丸10年が経とうとしている。2005年10月17日午前、同市の交差点で、山岡理恵さんが運転する乗用車の左側にフジモト被告の車が衝突し、当時2歳だった山岡理子ちゃんが死亡した。
 日本政府からの国外犯処罰申請により、同被告は当地で起訴され、裁判所での審理が始まった。2013年8月、一審では禁錮2年2月(実際には1年間の社会奉仕活動等で代替)の有罪判決が言い渡された。
 これを不服とした両者は控訴した。サンパウロ州裁判所は、最高刑を求めた検察の控訴は根拠がないとして却下した一方で、弁護側の控訴を部分的に認めた。禁固2年に減刑した上で、事故発生から起訴受理までに約5年が経過していたことから、時効が成立していると判断した。当地の刑法では、禁錮の刑期が2年を超えていれば時効は8年経った時点で成立するが、禁錮1年から2年までの場合は、4年で成立する。
 同判決後、同年7月に判決内容の明確化を求める申立てがなされたが、却下され、8月に判決は確定した。その判決を不服として、州検察庁長官の名前で「特別上訴」がなされたのは、その一カ月後のこと。判決文によれば、連邦検察庁までも、その特別上訴が根拠あるものだとする「意見書」を出している。

image_print

こちらの記事もどうぞ