ホーム | 文芸 | 読者寄稿 | 第43回全伯吟剣詩舞道大会=サンパウロ 平間浩二

第43回全伯吟剣詩舞道大会=サンパウロ 平間浩二

 家内の知り合いの細井真由美さんから、全伯吟剣詩舞道大会に誘われた。9月7日は何も予定が無かったので行くことにした。日照りが続いて心配していたが、朝から雨が降ったり止んだりの天候で、少しは水不足の解消になるのではないかと思いながら『なにわ会館』へ出掛けた。
 この大会は『日伯外交関係樹立120年』と題しての開催である。今回で第43回目であるが、出席するのは今回が初めてであった。『詩吟(川中島)』は、小学校5年の時に、担当の先生から教えてもらったのを時に歌うこともあったが、趣味には一歩至らなかった。
 11時前、会場のなにわ会館に到着したところ、細井さんが出迎えてくれた。会場の雰囲気がとても良く、客席はほぼ満員に近かった。私が到着して暫くしてから、詩吟・題名『九月十日』 作者『菅原道真』を、宮村秀光さんが、とても感情のこもった声で吟じられた。これを聞いて内容が良く分らなかったが何故か感動した。
 プログラムの小冊子を見て、「アッ」と、一瞬驚いた。何とこの会の会長さんとは全く知らなかった。宮村さんとは、4月に楽書倶楽部5周年記念祝賀会の席上で2人で各自『鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく)~ 』を歌ったのである。その時まで宮村さんのことは、誌上で知っていただけであったが、この時から親密感を覚えた。縁とは不思議なもので、これからは詩吟にも興味を持てるようになるのではないかと思っている。
 詩舞・題名『弘道館に梅花を賞す』、作者『徳川景山』を細井真由美さん他2名が踊られた。厳寒中、さきがけと咲く梅の花の香しい凛とした踊りを披露された。詩は全て文語体であり、俳句と相通ずるものがあるために、とても親しみをもって接することが出来た。
 再び細井さん他6名による、詩舞・題名『夜墨水を下る』作者『服部南郭』を踊られた。『墨水』とは隅田川である。澄みわたった月影が、いとも鮮やかに浮かんでいて、川の流れが揺らぎながら、止まるところを知らずに流れるさまを流麗に踊られた。全員が一糸乱れなく扇子の捌きもよく、素晴らしい踊りであった。
 次に、詩吟・題名『九月十三夜陣中作』作者『上杉謙信』を、柳原國貞さんという人が吟じている。何処かで見かけた方であるが何とも名前が浮かんでこない…終わり頃になってやっと思い出した。砂丘句会の柳原貞子さんであった。『國貞』となっていたので、すぐには思い出せなかった。終わった後に「素晴らしかったです」と健闘を称え挨拶を交わした。
 歌謡吟・題名『湯の町エレジー』作者『詩吟・後藤石稲』を堀美津子さんが短詩を吟じた後、近江敏郎の歌った歌を伴奏なしでしっかりと歌われた。とてもユニークな歌謡吟であり、私も湯の町エレジーを懐かしく口ずさんだ。
 剣舞・題名『合戦川中島』作者『頼山陽』をブラジル人男性2人が『鞭声粛々~』を詩吟に合わせて踊った。上杉謙信軍が濃霧に紛れてひっそりと千曲川を渡り、川中島の宿敵、武田信玄と一戦を交える凄まじい戦いを2人のブラジル人が演じた。剣の立ち振る舞いが大変迫力があり、見ごたえがあった。終了後、観客から盛大な拍手を受けていた。因みに使われた刀剣は正真正銘の刀であった。
 その後、暫くしてから昼食時間となり、出席者全員が心づくしの大変に美味しい料理をいただいた。その昼食時間中、スクーリンに日本で行われた詩吟の場面が各種映し出された。それを見ながら、皆のお腹も十分に満たされた後、再び午後の部が始まった。
 詩吟・題名『春望』作者『杜甫』を石原豊昇さんが吟じられた。『国破れて山河在り 城春にして草木深し~』 私はこの詩が大好きで青春時代に暗記するほど詠んだ記憶があるが、詩吟になっているとは知らなかった。本当に素晴らしい感動の詩吟であった。
 剣舞・題名『ああ白虎隊』作者「佐原盛純」を小林眞楓さんが、灰色の袴、白の着物、白鉢巻きで凛々しく踊られた。気合の鋭さが観客席まで感じられた。大変に素晴らしい剣舞であった。
 詩舞・題名『富士山(はれてよし)』作者『石川丈山』を祥秀会6名による踊りであった。この踊りは、白扇の一瞬の静止にも、6人とも揃っており、心が晴れ晴れとした素晴らしい踊りであった。
 この場面まで神経を集中しながら見てきた所為(せい)か疲労が激しく、睡魔に襲われ、居ても立っても居れなくなり、最後まで見るつもりでいたが、帰宅せざるを得なかった。実は、家では必ず昼寝をするのが日課で、15分も寝ればスッキリするのだが、本当に残念であった。

 <後記>
 舞台の横下にスクリーンがあり、『詩吟』『歌謡吟』を吟じられている時に、活字に映し出されるので一緒に歌えるため大変に良かった。『詩舞』『剣舞』も同様であった。
 一つ気になることがあった。『詩吟』を吟じ『詩舞』を舞っている時に、最後列の観客が当たり憚らずに大声を発している人が何人かいた。数人の人が後ろを向いて迷惑そうな顔をしていた、それでも話を止めなかったので意を決して「シーッ」と手を上げて制した。このような会場で大声を出すことは、非常識であり厳に慎むべきである。出演者にとって最も忌み嫌う迷惑な行為なので注意してもらいたいものである。
「詩吟詩舞剣舞も良きて春うらら    浩二」

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • 薬草・健康=サンパウロ 吉野功努雄2016年10月26日 薬草・健康=サンパウロ 吉野功努雄  今日では薬草や野菜類が健康に良いと、ブラジルの雑誌などにも沢山書かれており、非日系人の間にもだんだん知られ普及してきたようです。  この薬草ですが、誰にでも効くものと、人によっては効かないものがあるようです。自分に合わないと思ったら、色々試して合うものを見つける必要があると […]
  • イグアスーの滝、2人旅(2)=サンパウロ 平間浩二2016年6月16日 イグアスーの滝、2人旅(2)=サンパウロ 平間浩二  暫く走ってから比較的大きなカーブに差し掛かった時、船長は突然、急カーブを切った。あわや転覆するのでは・・・と驚愕した瞬間、今度は全員が波しぶきを全身に浴び悲鳴を上げた。 船長は2、3度この恐怖のサービスを繰り返した。いよいよ滝の下に近づくにつれ、徐々に滝しぶきが強くなってきた […]
  • 「拝啓、Aさんお元気ですか?」=ジアデマ 松村滋樹2016年8月19日 「拝啓、Aさんお元気ですか?」=ジアデマ 松村滋樹  ブラジル事情に詳しくて、いつも新聞や実業雑誌に投稿されていたAさん。街でお会いすると、いつも向こうから声を掛けて来られ「元気ですか」と挨拶される。私の人生の師であった。 […]
  • イグァスーの滝、2人旅(1)=サンパウロ 平間浩二2016年6月8日 イグァスーの滝、2人旅(1)=サンパウロ 平間浩二  カルナバルが終り、その週の日曜日(2月14日)に2人でイグァスの滝を見に行くことにした。私は一度会社の旅行で行っているが、家内と一緒に行くのは今回が初めてである。旅行社は『CVC』で、全国的なネットワークを持つ格安の有名大手旅行社である。「カルナバル済て2人の旅路かな」 集合 […]
  • 2世第1号の人=ジアデマ 松村滋樹2016年6月8日 2世第1号の人=ジアデマ 松村滋樹  珍しく早起きして、ソファで血圧を計っていると電話がなった。早朝に電話がなるのはお葬式の話と決まっているので、恐る恐る受話器を取る。「オレオレ。未だ寝てた?」アチバイアのMさんだった。 「聞いて驚くなー」人をビックリさせるあの独特の抑揚。同船者で病気の人って誰だっけ?それとも元 […]