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『武本文学賞受賞作品集』と『にほんじん』
『武本文学賞受賞作品集』と『にほんじん』

ジャブチ賞作品が日語に=中長編小説『にほんじん』=武本文学賞作品集も同時出版

 ブラジル日系文学会(武本憲二会長)からブラジル文学翻訳選集第3巻『にほんじん』(236頁)および、『武本文学賞受賞作品集』(440頁)が出版された。同会の『ブラジル日系文学』の刊行50周年記念事業。
 『にほんじん』はパラナ州出身の日系三世、中里オスカルさんの作品。2012年に日系人として初めて、ブラジル出版界の最高峰「ジャブチ賞」(中長編小説部門)を受賞した(同年10月20日付け既報=www.nikkeyshimbun.jp/2012/121020-71colonia.html)。
 同作は戦前移民の男性とその家族が経験する、苦難に満ちた生活を描いた物語。メンバーの古川恵子さんは、「日本在住の会員からも評判の良かった作品。当地だけでなく日本でも受け入れられるのでは」と期待を寄せた。一冊40レ。
 『武本文学賞 受賞作品集』は、1984~2014年の受賞作17編の小説を収録したもの。同賞の創設以来、初の作品集となる。
 社会的弱者を守ろうとする神父の悲劇を描いた「黄金の弾丸」、アマゾン川を船で往来しながら物資を運ぶ男の「ジグザグ人生」、沖縄移民の三世代にわたる恋愛模様を語る「リベイラの流れ」などが掲載された。一冊60レ。
 編集長の中田みちよさんは、「受賞作が出るのはだいたい2年に1度。それだけに作品は厳選されており、読み応えを感じていただけるのでは」と語った。
 いずれもフォノマギ、太陽堂などの日系書店、およびニッケイ新聞と文協図書館にて販売中。問い合わせは中田さん(11・5084・7112)まで。


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 ただいまニッケイ新聞の書籍コーナーではブラジル日系文学会の『ブラジル文学』『ガウショ物語』『にほんじん』『武本文学賞受賞作品集』を販売中。価格は40から60レ。耳子のお気に入りは『武本文学賞受賞作品集』の一編「黄金の弾丸」だ。有力地主の搾取から小作人を守る神父という分かりやすい物語。書き出しと話の展開、描写の上手さに、近年稀なほど引き込まれながら読んだ。他の短編も優秀で、色んな作品を読みたい人にオススメの一冊。