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CKC=日系農業連携交流事業=(下)=イビウーナで流通改革=有機農業の可能性探る

第2回日系農業団体連携強化会議(27、28日、イビウーナ市)終了後に記念撮影

第2回日系農業団体連携強化会議(27、28日、イビウーナ市)終了後に記念撮影

 イビウーナ農業協同組合(CAISP)の出利葉マルシオ組合長はここ数年の組合近況を踏まえつつ、本事業を通した農業機械輸出会社と種苗会社との連携に関する講演を行った。
 同氏は、農業が景気に左右されやすい事例として、12年頃までの景気好調時には他産業に労力を吸収され、条件不問で雇用したことによって製品の質が低下する事態を紹介。
 その後、現在まで景気が下火で労働力は安定した。でも同じ事態を避けるため、組合では昨年3月から苗の植え付け用の機械を日本の「旺方トレーディング社」と取引をして輸入を検討中だ。
 また最近10年来、同市内で栽培されるキャベツにウイルスで赤く変色する事態が発生、最悪の場合9割が感染することもあり、日本の「中神種苗」に協力要請。現在も試験中だが改善の兆しが見えてきているという。
 また同市で有機農法を実践する吉住雅実さんは新たな流通例に関して講演。有機野菜の売り上げは毎年増加しているが、人手がかかる上、前述の理由から安定した生産が困難だ。手のかかる有機野菜をスーパーに卸しても利益は3割にしかならないので、その流通ルートから手を引く農家が多く、一時期の4分1程度まで減少したという。
 吉住さんは生き残りをかけて、会員制の有機野菜宅配サービス「バンカ・オルガニカ」に供給先を変更。マーケティング、広広告事業を委託し、生産、宅配を請負う。これだと売り上げの6割以上が収入になり、顧客からの要望も受け付けやすい利点もある。
 吉住さんは「製品の種類と量の安定した供給を実現するには時間の投資が必要」、生産者以外にも経営面の「パートナーが不可欠だ」と話した。
 同じくCAISPの立花マウリシオさんは同市で盛んな水耕栽培について、小さな耕地でも収穫が多いと利点を説明。集まった南米諸国の関係者の前で「ノウハウを教えられる」と話した。
 トメアスー総合農業協同組合の塩谷エメルソンさんは、昨年8月にCKCの研修制度で聖州サンタフェ・ド・スルに魚の養殖の現場を視察した。健康志向が高まりで魚の需要伸びており、成長が期待できる分野だ。牛肉に比べ必要な飼料が大幅に少なく、魚粉を飼料としても利用できる。「組合内でも既に数人が取り組んでおり、特にチラピアなどの種類は注目されている」という。
 品質によって売れ方が変わる。「予防接種した個体や良質でない穀物を飼料として使った場合、買い手がなくなってしまう」といい、「大規模な機械を導入するかどうかを慎重に検討していきたい」と話した。
 講演や事業報告以外にもイビウーナ市内で野菜の梱包工場「イビフォーリャス社」の視察も行われた。市場の大きい聖市近郊という利点を活かし、葉野菜やトマト等の足が速い商品を始め、数十種類の有機野菜を農家から買い付け、スーパーに陳列可能な状態に仕上げるまでの工程を行う。
 元々は農業を営んでいた経営者の川合カルロスさんだが、親類と共同で4年程前に海外から洗浄機や最新の機械を買いつけ、梱包業に移行した。他州へ輸送用の関連会社も立上げるなど、年々事業の拡大を行っているという。参加者も興味を惹かれた様子で活発に質問が上がった。(おわり、桃園嵩一記者)


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 ある生産者は「有機野菜の場合、捨てる分が多くて大変だ」といい、その分スーパーに並んだ時の値段も上乗せされているようだ。ところで記事で紹介している「バンカ・オルガニカ」のシステムは聖市や近郊在住者には画期的か。利用者は7人以上のグループを作って共同加入し、週に会費50レアル払ってメニューの中から10種類の野菜を選べる。グループの中に責任者を決め、その人が代表して野菜を受取り、会員に配る。会員が14人までなら代表者の会費が半額、それより多いと無料になるのだとか。責任者は大変だが、かなりお得。

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