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県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱=第19回=雨が降る有難さを痛感

広大なメロン畑の真ん中で一行に説明する大谷さん(右)

広大なメロン畑の真ん中で一行に説明する大谷さん(右)

 北大河州では3~5月が雨季だが「まったく当てにならない。ここ4年ほどずっと干ばつが続いている」という。「雨でメロンを作ると天候に頼らなくてはならない。だから、雨の降らない所で、乾期に必要な分だけの液肥を足しながら灌漑で生産すると、完全に生産をコントロールできる」という生産方式を確立した。
 「サンパウロにいた時は雨が沢山降るから、水の使い方を考えなかった。ここでは雨が降らないから、水をどうするかを、根本から考え直す必要がある。苦しいから考える、覚えるんです」と聖州での農業と比較する。
 現在は井戸の水量が下がってきているため、「将来を考えて、700メートルも掘って新しい井戸を準備している。大変なお金がかかる。費用がバカにならない。でも水を確保しないと農業にならない。長い時間をかけて償却しないと。だからここではバナナは生産できない。メロンの6倍も水を必要とするんだ」と大谷さんは同地農業の難しさを説明した。
 その井戸の話を聞き、一行が泊まったホテルにいたペトロブラス石油公社の現地職員の話を思い出した。
 同ホテル敷地の一番奥には、ペトロブラスが地上採掘では同州最初に石油を掘り当てた採掘井戸が現在も残っている。今にも動き出しそうな採掘ポンプが据え付けられており、看板には「いつ動き出すから分からないので、近寄らないように注意」と書かれていた。
 たまたま同石油公社職員が宿泊していたので「本当に動くのか?」と尋ねると、「ここのは温泉を見つけるために井戸を掘ったら、石油が出てきた。でも、二度ともう動かないよ。だけど北大河州は今でも地上採掘の石油では全伯一なんだ」と笑って答えた。聖州にはあちこちに「石油を探して掘って、温泉が出た」場所があるが、ここは逆だ。

大谷さんが自作したメロン収穫機。レーンの奥にあるトラックに積み直される

大谷さんが自作したメロン収穫機。レーンの奥にあるトラックに積み直される

 ナタル出身のその職員の話では、「この辺の地下700~800メートルには超巨大な地下水脈がある。アンデス山脈から流れ出た地下水が、大西洋の中心部で隆起している海底山脈の続きの地形にせき止められて、貯まっているんだ。地上は干ばつだが、実は素晴らしい地下水に恵まれている土地だ」と話した。
 もともとの土質は悪くないし、地下水にも恵まれている。この土地で農業をするのは一筋縄ではないが、〃神の恵み〃をあまさずに使えば、実は適地なのかもしれない。
 大谷さんは「僕は作物の出来が悪かったら、まず肥料を減らす。過剰なのが原因であることが多い。できるだけ肥料をやらないのがコツ」と繰り返す。乾燥地なので病害も少ない。「メロンは本来輪作ができない作物なんです。それを輪作しなくてはならない。だから間作にトウモロコシを植えて、葉っぱは地面に戻す。ネマトーゼが出たことがあった、ムクナを植えて緑肥にしたら見事に出なくなった。『土からもらった分をいかに返すか』が大事。いかに土地を大事にするかに一番気を使う」。(つづく、深沢正雪記者)

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