ホーム | コラム | 特別寄稿 | 巴亜双国ヤシレタ・ダム=米国諜報機関が機密解除=秘密文書で意外な事実判明=パラグァイ 坂本邦雄
ヤシレタ水力発電ダムは亜国と共同で作られ、堤防の長さは50キロにも及ぶた巨大ダム。パラグァイは、ブラジルとの共同で作ったイタイプーダムと、このヤシレタ・ダムの二つにより、世界最大の電力純輸出国としての地位を確立した(By No machine-readable author provided. Eby gov py assumed, via Wikimedia Commons)
ヤシレタ水力発電ダムは亜国と共同で作られ、堤防の長さは50キロにも及ぶた巨大ダム。パラグァイは、ブラジルとの共同で作ったイタイプーダムと、このヤシレタ・ダムの二つにより、世界最大の電力純輸出国としての地位を確立した(By No machine-readable author provided. Eby gov py assumed, via Wikimedia Commons)

巴亜双国ヤシレタ・ダム=米国諜報機関が機密解除=秘密文書で意外な事実判明=パラグァイ 坂本邦雄

 最近アメリカの諜報機関が機密解除したアルゼンチン最後の独裁政権に関る軍事秘密文書の中で、ヤシレタ水力発電所の建設プロジェクトは「ラテンアメリカにおける最も多くの機会と利益をもたらす善い米国の事業計画」に資格分類されていた事が判明した。
 アメリカ政府の国家情報局長は去る8月8日、パラグァイにも言及する1千ページ以上に及ぶ当時のアルゼンチン独裁政権に属する軍事機密書類を公開したのである。
 それによると、巴亜双国共同事業のジャシレタ水力発電所は、アメリカの諸企業にとって潜在的なビジネスの有望なニッチだと解説している。
 その中でアメリカ商務省宛の1980年5月13日付文書は一部で「現時点でタービンと発電機や土木工事一連の契約書がそれぞれ検討されており、当該金額はおよそ8億3千万ドルに達する予想である」と述べている。
 その他の箇所で同文書は、既に日本、アルゼンチン、スペイン及びその他西独企業コンソーシャムやイタリアとロシアの応札企業が激しく競っている事に触れている。
 しかして、この中でアメリカの最も関心を惹いたのが最後に触れた企業グループであった。
 と言うのはそのロシアを加えた企業グループにはパラグァイのストロエスネル大統領が最も好意を寄せていると言う情報があったゆえに、一番受注の可能性が高いとみなされたのであった。
 事実、ストロエスネルはアルゼンチンの特使に対し、例えロシアが落札するにしても何ら異議はない旨を表明したと云う。
 ちなみに今回、機密解除された前述の秘密文書は、人権外交を鮮明に打出したジミー・カーター大統領時代の保管アーカイブに属する秘密公文書である。
 カーター政権はこれをもって、アメリカはそれまでは緊密な南米南部諸国の独裁軍事政権への支援外交政策を人権的に見直す大転換を行なったのであった。
 1971年に創設されたアメリカのOPIC(海外民間投資公社)は、企業進出先の国々に対し、人権主義に即したそれぞれの人権擁護法制の設定・履行を要求した。
 事実、OAS(米州機構)は別途文書によって、いかにCIDH(米州人権委員会)の報告書を処置すべきかの方法に触れており、同時にアメリカ政府の同書類に対する姿勢、またはスタンスはどうあるべきかに言及しているものである。
 「もしもこれでアルゼンチンは一般的にOAS(米州機構)または特にアメリカの不当な取り扱いを受けるものと感知するとなれば、同国はOAS(米州機構)の脱退に踏み切る事も可能である。アルゼンチンの高級公務員は同じくアメリカ政府のOAS(米州機構)における姿勢を示唆して、ヤシレタ水力発電所プロジェクトの落札先がどこの企業に納まるか大なる関心を寄せている」と語った。
 それで、EBY(ヤシレタ双国企業)の経済採算性は、アメリカの少なからぬ関心を惹いた。だが、例の機密解除された秘密文書によれば、あるルーサー・ホッジスなる仲介交渉人は、その課された条件は「ストレイトジャケット」(拘束シャツ)を着せられた様な窮屈なもので交渉が難しい商談だと嘆いた事に触れている。
 確かにヤシレタ水力発電所の建設工事は、幾年かストップしていた事があり、タービンの据付が漸く1994年に完了した意想外の遅延があったのは周知の通りである。

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