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東農大の「堅き絆」など受賞=にっけい文芸賞授賞式

表彰状を手に喜びを見せる受賞者ら

表彰状を手に喜びを見せる受賞者ら

 優れた文芸作品を表彰する『2016年度にっけい文芸賞』の受賞式が7日、文協貴賓室で開催された。受賞者の家族を含め100人以上が出席し、受賞者とともに悦びを噛み締めた。
 式で山下譲二文協副会長は、「日本語で意思疎通ができる人口が減少するなか意味のあること」とあいさつ。続いて中前隆博在聖総領事は、「日系社会の文芸活動を網羅する賞」と意義を語り、「創作活動を通じて、歴史・文化継承に大きな役割と果たしている」として功績を称えた。
 日語部門では東京農大と校友会編纂の移住百年誌「堅き絆」、エッセイ・短歌集「赭き大地」(藤田朝壽著)、自分史「花の生涯」(宗花子著)が選出され、翻訳「ブラジル文学小史」(田畑三郎著)に功労賞が贈られた。
 250人もの卒業生が伯国移住し、百年の歴史を持つ東農大。A4版で786頁、2・5キロにも及ぶ超大作となった同書は、「新天地での力戦奮闘ぶりを伝える重みを実感させるもの。農大精神を貫き、伯国の地に立派な花を咲かせている」と、駒村秀雄文芸委員は講評。編集責任者の池田之彦さんは、「完成までに3年半。その間に協力者が2人も亡くなった。出版を待ち望んでいた2人にこの賞を捧げたい」と語った。
 「赭き大地」は18歳で短歌に出会い、その道に精進してきた藤田さんの短歌集。「日本文化から遠く離れた環境の中でよくこれだけの深みのある表現力を身につけたもの」と絶賛された。藤田さんは、「漢詩を好んで勉強してきたのが土台になっている。日々の実感を大切にしている」とその秘訣を語った。
 「花の生涯」は、戦後移住した宗さんの人生を記録した自分史。農業に従事し、美容師、洋裁師を経験。その後、日本語教育に使命を見出し、日伯のびる学園を創設した。「親戚や子や孫にどのように生きてきたのか知ってほしいと思って、初めて書いた本。それがまさかこういうことになるとは」と受賞に驚きを見せた。
 講評後、主催者及び来賓から表彰状が手渡されると、各受賞者は誇らしげな表情で受け取った。なおポ語部門からは、チアゴ・フェイジョさんの「インソリトゥーデス」が選出。漫画部門では、1位に「リップスティック・ラブ」、2位に「アトーヘ」、3位に「レンブランサス・エスケッシーダス」が選出された。

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