ホーム | コラム | 樹海 | 一気に流動化した政局

一気に流動化した政局

オデブレヒト社の謝罪広告

オデブレヒト社の謝罪広告

 2日、エスタード紙経済面にオデブレヒト社の謝罪広告が出ていた。それを見ながら考え込んだ。「司法取引が成立したワケだ。これで政局は次の局面に移った。これからがテメル政権の本当の正念場、〝浄化の時〟だ」と実感した。200人とも言われる汚職政治家の名が来年早々にも暴露され、次々に逮捕されるだろう。この難局を乗り越えるまで、政局は安定しない。安定しなければ、議会は経済再建策を練るどころではない。つまり景気回復はさらに遠のく▼11月のトランプ・ショック以降、経済や政局が一気に流動化していた。それを受け、国の債務不履行に備える保険商品「CDS」が再び上昇している。リオ五輪時には250前後で安定し、9月初めのジウマ罷免決定直後には240まで下げた。それが11月頭のトランプ・ショック以降に再び上げ始め、同月末に300の大台に戻す勢いだ▼というのも、先週のカレロ文化相とジェデル大統領府総務室長官の相次ぐ辞任劇に、テメル大統領が巻き込まれた。同時にオデブレヒト社の司法取引が進み、汚職政治家が浮足立って司法への激しい逆襲を始めたからだ▼テメル大統領が日曜に「Caixa2はダメだ」と演説したのを受け、それ以外のあらゆる悪あがきを尽くした形で汚職防止法案を骨抜きにした。シャペコエンセ搭乗機事故で国中が感傷的な気分にひたり、その情報に関心が集まっている裏で、11月30日の真夜中に連邦議会で修正し、事実上の「汚職擁護法案」にしてしまった。悲劇を利用した上、テメルのコントロールがもう効かなくなったことを示した▼そもそもこの法案は、LJ作戦を支援するために市民活動家が約250万人もの国民の署名を集め、連邦議会に提案した「街頭の声」だ。それを、LJ捜査陣の首をしめるように改悪するという行為に、追い詰められた政治家の底意地の悪さを感じる。彼らはすでに〝民意〟を代表する存在ではない▼汚職防止法案は下院で圧倒的多数で可決された。日系下議では、さすがに西森ルイス氏はNaoを入れた。だが太田恵子氏も高山ヒデカズ氏もSim…。マイア下院議長の属するDEMは全員がSim、テメル大統領やレナン上院議長のPMDBも全員がSim、興味深いことにPSDBやPTもほぼ全員がSim▼レナン上院議長はすぐ上院可決に動いたが否決。そのときに上院可決工作を秘密裏に強く推し進めた一人がPSDBアエシオ上議だった(ブラジル247サイト1日付電子版)▼ジウマ政権は少なくともLJ妨害をしなかった。だからルーラもレナンも「ジウマは連邦警察のやりたいようにやらせすぎだ」と度々批判をしていた。ところが5月のテメル暫定政権の発足直後からPMDB閣僚らがLJ作戦妨害を企んでいる発言の録音が暴露された▼今の成り行きをみていると、ジウマ罷免を推し進めようとしたPMDBら議員の多くは、「汚職が酷いからPT政権を辞めさせようとした」振りをして、実際は「LJ作戦を止めないからジウマを罷免した」のが動機だったとさえ思える▼だいたいPTもPMDBも3月まで与党で「同じ穴の狢」だ。オデブレヒト社の告発からはPMDB、PSDB議員もぞくぞくと出てくる。こうなると「選挙やり直し」が最良の選択肢かもしれない▼テメルは先週日曜日に「街頭の声を聞く」とかっこよく演説したが、国民を裏切った結果になった。「街頭の声」を敵に回したら彼も罷免対象になる。そうなると一気に政局は流動化だ。この4日、どれだけの抗議デモ参加者が現れるかで、その「街頭の声」の怒りの大きさが分かる。テメルはそれに何らかの手を打てるのか…。ブラジルは再び大きな節目を迎えている。(深)

ブラジルCDSのチャート

ブラジルCDSのチャート

image_print

こちらの記事もどうぞ