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種子島から9日、無事打ち上げ=ブラジルの高校生が作った人工衛星=小さな「日伯共同宇宙研究」

人工衛星開発チームのUbatubaSAt(Explore Midiaサイトより)

人工衛星開発チームのUbatubaSAt(Explore Midiaサイトより)

 ブラジル人高校生が作ったミニ人工衛星を、種子島から日本のロケットで発射――小さな「日伯共同宇宙研究」ともいえそうなプロジェクトが進んでいる。聖州ウバツーバ市の市立学校(小中高校)の生徒6人が関わる人工衛星開発チームが完成させたミニ人工衛星「Tancredo1」が9日、種子島宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)に向け、無事に発射された。ムンド・ニポ紙やコレイオ・ブラジリエンセ紙の9日付け電子版などが報じた。

 プレジデンテ・タンクレード・デ・アルメイダ・ネーヴェス同市立学校で2010年、カンヂド・オズヴァルド・デ・モウラ教諭は算数の授業中、ミニ人工衛星の作成を生徒に発案した。
 北米のロケットや衛星、宇宙船製造会社「Interorbital Systems」がミニ人工衛星開発キットを販売していることを知って、モウラ教諭は衛星開発チーム「UbatubaSat」結成を提案し、生徒に夢を託した。
 同教諭は「5年生の生徒とミニ人工衛星を作るのは面白そうだと思った。当時、彼らは平均年齢10歳、世界でも最も若い宇宙開発企画関係者になれると興奮した」(ムンド・ニッポ紙)と当時を振り返った。
 ミニ人工衛星開発キットの購入や発射サービスの契約、生徒指導料等は地域企業やウバツーバ市が援助した。当初は米国製のミニ人工衛星開発キットの完成を目指したが、国立宇宙研究所(Inpe)、ブラジル宇宙開発庁(AEB)の指導と援助が加わり、さらにInpeの研究者により人工衛星「Tancredo1」が設計し直された。
 Tancredo1は主に6人の生徒が小学生のときに始めたが、完成時には高校生になっていた。人工衛星開発プログラムに参加する大学生と協力して、6年がかりで完成させた。その他に2010年から約400人の生徒が開発に関わった。伯国初、義務教育課程の生徒が完成させた国産の人工衛星だ。
 モウラ教諭とその生徒は聖州サンジョゼ・ドス・カンポス市の国際特別研究機構(Inpe)でのミニ衛星発射に立ち会った。「生徒の学習や作成に関する経験が一番大きな収穫。生徒たちに早くから科学技術に触れて欲しかった」と喜びを語った。
 宇宙航空研究機構(JAXA)広報部によると、Tancredo1は無人宇宙補給機「こうのとり」で打ち上げられ、現在すでにISSに到着している。放出は1月予定とのこと。また、Tancredo1は小衛星宇宙探査機との距離測定や宇宙空間での水分の形質変化の検出、生徒らが録音したメッセージを無線放送している。


□関連コラム□大耳小耳

 伯国初の国産ミニ人工衛星を開発した高校生チーム「UbatubaSat」。2014年には映像・動画制作会社のExplore Midia社が約30分程度のドキュメンタリー「Projeto Ubatuba」を制作している。Tv Escolaのサイト(http://tvescola.mec.gov.br/tve/video/especiais-diversos-projeto-ubatuba-sat-uma-jornada-de-conhecimento)で会員は視聴可能。サイトの会員登録は誰でも出来るようなので、気になる方は鑑賞してみては。

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