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移民110周年に向け発進!=皇室ご訪問に高まる期待=(6)=3団体が統合したマリリア

7万人の集客力を誇るジャパン・フェスタ

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 若き活力溢れる若者が育つ当地日系社会だが、その秘訣は活発な文化活動にあるという。その分岐点となったのが、1991年まで分かれていた日系3団体の統合だ。
 当時、会長を務めていた新宅義美名誉会長(80、二世)は、デカセギ・ブームの波が押し寄せるなか、「一つに団結した方が力を結束できるだろうとの思いだった」と振り返る。
 総会では満場一致で承認。青年会とスポーツクラブを取り込む形で、現在の「マリリア日系文化体育協会」になった。
 水野ケンイチ会長(55、三世)は、「各部門が独立して予算運営を行っており、自立した部門を束ねた組織体」と語り、「文協が主催するのは、三大事業と位置づける日本祭、6月祭、盆踊りの3つ。その収益で健全な運営ができている」と安定感を伺わせる。
 なかでも最も活発なのは、野球とソフトボールだ。約200人の選手を抱える同地は、全伯大会の各カテゴリーで毎年上位を独占する全伯最強チームを誇る。指導員12人のうち7人がWBCのブラジル代表選手といい、周辺地域からも同チームでプレーするために在籍する選手もいるほどだ。
 89年に購入された12アルケールの広大な運動場には、食堂や宿泊施設も完備された7つの野球場を有する。
 新宅名誉会長は「もとあった土地を売却したり、イベント収益や地場企業からの資金をちびちび集めて整備してきた」と苦労を語る。だが、「野球場が作られたことが何よりよかった」と顔をほころばせる。
 新宅名誉会長の案内で記者が訪れた運動場には、同会創立75周年を迎え、05年に落成した移民記念館が建っていた。
 《文化社会を担って、奮起する責任と価値を引き起こす「支えと動機」となる移民記念館の設立を願う》と刻まれた日系移民の足跡を伝える約20枚のプレートを収める記念館の横で、子供達は雨にも負けずに野球の練習に励んでいた。(つづく、大澤航平記者)

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