ホーム | 日系社会ニュース | 商議所・部会長シンポ=潮の変わり目に何をすべきか=(下)=「種まきの準備を進める」

商議所・部会長シンポ=潮の変わり目に何をすべきか=(下)=「種まきの準備を進める」

 化学部品会の鎌倉勇人部会長は、景気後退局面で各社はリスクを恐れず積極策に打って出てきたと回顧した。ブラジル化学協会によれば、17年の全化学品生産量は、4・04%増に転じると見込んでおり、17年は明るい兆しになると総括した。
 電気電子部会の千野浩毅部会長は、全分野に渡って事業環境はどん底だったが、必需品とも言える携帯電話や液晶TVなどでは、底打ち感が見られてきたと現状を説明。厳しい事業環境のなかでも、企業努力が実を結び業績を改善してきた企業が多いと指摘する。17年に市場展望の改善が予測されるなか、「急激な回復に期待せず市場ニーズの変化のなかで新たな事業機会を創出していくことが肝要だ」とした。
 食品部会の秋元壮介部会長は、6月以降のスーパーマーケットの売上高前年比は7カ月連続で前年を上回ったとして、製品カテゴリーにより支出抑制の傾向がありながらも、「約2年間続いた経済情勢の悪化に底打ち感が出てきた」と発表。「消費者動向や社会的変化を見据えた商品開発や市場開拓により、近い将来の景気回復時の波にのれるよう、種まきの準備を進める」とした。
 運輸サービス部会の細谷浩司部会長は、輸出量増加によって航空貨物業界などでは緩やかな回復が見込まれる一方、リオ五輪を終えた今年は旅行業界では昨年以上に厳しくなると見通し、「最低限の機能を残した組織を維持し、品質・キャッシュフローの悪化を防ぎ景気回復を待つべき」と語った。
 建設不動産部会の奥地正敏部会長は、「建設業界は、景気が悪いときにさらに悪くなる」とし、14年度から急激に落ち込んだと語り、建設コストは10年間で1・8倍に跳ね上がった。中でも人件費は高騰し続け、1300社以上の建設会社が倒産し、失業率は建設業界が14・5%で最下位だったと状況の厳しさを語る。景気動向は、昨年と横ばいで依然として厳しいという予測が圧倒し、「日本独自の先端技術を売り込み、環境、省エネなどを軸にオール・ジャパンで取り組む必要がある」と訴えた。
 繊維部会の南村幸彦部会長は、「原料高と製品安が年間を通じて継続し、厳しい一年になった」と総括し、「綿糸市況に底打ち感は見られるが、ブラジル紡績会社との価格競争でこれまで以上に激しさを増す」と見ており、「糸だけでは出せない付加価値商品を衣料品トータルで表現し、国内不況に強い業態に変わる必要性がある」と意気込みを語った。
なお、同シンポの参加者総数は約200人、うち一般参加者数は18人だった。(終わり)

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