リオ州軍警=今年だけで51人殺される=死亡率では米国軍人より上
リオ州軍警はブラジル一人を殺し、殺されているとの統計が発表された。同州では今年既に51人の軍警が殺され、過去23年間で最悪の記録となっていると10日付G1サイトなどが報じた。
同州軍警の5人に1人は、犯罪者との抗争や、警官であるが故に殺されたり、負傷したりしている。リオ市や周辺では5人に2人だという。
1994~2016年に殺された軍警は3234人、負傷者は1万4452人に上る。16年の場合、4万6135人の軍警の内、147人が殺された。同年のサンパウロ州では8万9478人の軍警中54人が殺されたというから、リオ州軍警の死亡率の高さがわかる。この間の軍警死亡率3・59%は、第一次世界大戦中の米軍兵死亡率2・46%や第2次大戦中の2・52%より高い。
死亡したり負傷したりした軍警の大半は、休暇の時に被害に遭ったという。強盗に襲われ、警官だと知った賊から7発を浴びて失明し、脳挫傷のために歩行も困難になった軍警や、派出所が手榴弾で爆破され、片足切断となった軍警など、その例は後を絶たない。
また、被害に遭った軍警はトラウマに陥る事も多く、ここ4年間で職場を離れる必要が生じた軍警の3割(2751人)は、精神的なトラウマが原因で休職したという。また、被害に遭った軍警の家族も、軍警への暴力の被害者といえる。
一方、16年に軍警に殺された人は920人いる。こちらもブラジル一だが、殺された市民が犯罪者だったか、警官の正当防衛だったかなどは99%以上、判明しないままとなっている。警官に殺された市民の一般的な特徴は、若い、男性、黒人、貧乏、ファヴェーラや大都市周辺部在住者となっている。
最近では、マリア・エドゥアルダさん(13)が授業中に死亡したアカリ地区で、軍警が無抵抗の犯罪者を殺害した例が記憶に新しいが、2015年10月には、油圧ジャッキを持ってバイクの二人乗りをしていた青年が、小銃を持っていると誤解されて射殺される事件も起きた。
犯罪者による軍警殺害と、軍警による市民殺害は共に、公共の利益や治安を脅かす脅威だが、この手の問題根絶のための明確な対策は未だにとられていないのが実情だ。