東洋街に新しくオープンした「謙造鮨」。本格的な寿司と聞き、どんなものかと思い食べてみると、「なるほど」と舌を唸らせるものだった。
当地でも広く定着した寿司だが、庶民的なところではブッフェが一般的でシャリも冷たく、クリームチーズ入りも多い。ポルキロであれば、他の料理と味が混ざり、何だか分からなくなることさえある。
ミシュランで初めて三ツ星を獲得した数寄屋橋次郎の店主によれば、ネタによっては新鮮第一でなく寝かせて熟成させることも必要。寿司の命であるシャリは人肌で。客の体調を考え、季節に応じて酢量を調節するなど細かい気配りがされる。
シンプルな中に隠される握り寿司の醍醐味。そこには、日本ならではのおもてなしの心が詰まっている。当地式にクリームチーズ入りも悪くないが、「本来の味」ももっと知ってほしいものだ。(航)