第8回全パ日労連親睦交流会=250人で賑やか和やかに=最優秀川柳「亡くなればみんないい奴惜しい人」=パラグァイ 坂本邦雄

秦泉寺清氏を囲む筆者夫妻

秦泉寺清氏を囲む筆者夫妻

 今年は8回目になる全パラグァイ日系老人クラブの親睦交流会が、この5月21日(日)にアルト・パラナ県イグアス市の日本人会会館サロンで、パ日老連の山西司郎事務局長の司会により、ホスト役のイグアス鶴寿会と近くのエステ市東寿会の共催の許に盛大に執り行われた。

 集まったのはアマンバイむつみ会、エンカルナションあけぼの会、チャベス相生クラブ、ピラポ寿春会、ラ・コルメナ福寿会、ラ・パス長寿会、エステ東寿会、それに地元の鶴寿会と我々アスンション寿会の9クラブの、老いて益々盛んなる〃万年青年男女〃の面々の他に、各地区配属のJICA専門家ボランティアを加えて約250有余の人数に及び、賑やかな楽しい親睦交流の一時を過ごした。
 他の各遠方からの来訪参加会員も同様だったのではと思うが、午前8時半の開会に間に合うには、当日の出発ではとても無理なので、我々は前日の20日(土)の午前8時にフェルナンド・デラ・モーラ市の神内じんない日系社会福祉センターから、ダブルデッカーバスで出発し、午後5時半頃に イグアス市に到着した。
 今はJICA時代の旧友管沢かんざわ忍しのぶ氏が経営するホテル・イグアスと別にホテル・福岡及びホテル・ガーデンの3ヵ所に分宿した。
 翌日朝は定刻8時30分に会場に全員集合、9時30分には上田うえだ大使夫妻もアスンションから到着したので、パラグァイ日系老人クラブ連合会の所ところ谷だに拓ひろし副会長の開会宣言を以て、『健康長寿、今が一番!』をモットーに掲げた今回の第8回全パ日系老人クラブ親睦交流会が晴れて開始された。
 式典行事は、まずパ日両国歌の鶴沢つるさわ美枝子みえこソプラノ歌手の見事な独唱で始まり、続いて物故者に対する黙祷と、都合で来られなかった山脇やまわき生年いくとしパ日老連会長に代わって、菊池きくち昭あき雄お全パ労連副会長(注・副会長2人制)兼ア市寿会会長が歓迎の辞を述べた。
 次いで、第8回パ日労連親睦交流会執行委員でイグアス鶴寿会の菅原すがわら祐ゆう助すけ会長、及びイグアス日本人会の堀田ほった利幸としゆき副会長が地元代表として各々歓迎の挨拶を行った。
 この後、駐パ上田うえだ善久よしひさ特命全権大使、JICAパラグァイ事務所長代理の近藤こんどう信孝のぶたか次長、パラグァイ日本人会連合会前原まえはら弘道ひろみち会長夫々の来賓祝辞が続いた。
 次いで、各地区老人クラブ参加者の紹介があった他に、JICA日系社会ボランティア岩崎いわさき由紀子ゆきこ氏と助手の鶴谷つるたに行ゆき恵えボランティアに依る参加者全員対象の健康体操の指導が有り、2年の任期を終えて来る7月には日本へ帰国する同岩崎いわさきSVには全パ日老連より感謝状と記念品が贈られた。
 そして、地元婦人会が腕に縒りを掛けた待望の日本料理の昼食会がパ日労連顧問で前駐日大使、現パ国大統領顧問のタオカ・イサオ氏の乾杯の音頭を以て始まり、皆は土田つちだ永子えいこ氏と矢内やうちめい子氏両進行係に依る盛り沢山なアトラクションの演目を観賞しながら、美味しい食事に舌鼓を打った。
 なお、その間隙を縫って、今回初めてのパラグァイシルバー川柳の募集で、久保田くぼた誠まこと氏の作品「亡くなればみんないい奴惜しい人」が最優秀賞に選ばれて紹介された。

パ日両国歌を熱唱する鶴沢美枝子ソプラノ歌手

パ日両国歌を熱唱する鶴沢美枝子ソプラノ歌手

 そのようにしてこの度の全パ労連親睦交流会も無事成功裡に予定通り午後2時半に終了、各参加グループは大いに満足しながら夫々の帰途に就いた。
 ところで、年を取って家に引っ込んでばかりいると、直ぐその近くだと何時も思うイグアス移住地でさえも、今回の様な全パ労連親睦交流会の機会でもないとそう簡単に中々行けたものではなく、思えば同移住地入植50周年記念祭(1961年8月)に同地を訪ねてから既に6年にもなる。
 なお序でながら、奇しくもその時に初めてお会いしたニッケイ新聞の深沢編集長のお蔭で、此れまで同紙に度々拙稿の掲載を忝くしているのは幸いである。
 この様な時でもなければ機動力が衰えた老人同士は旧知を暖める機会に余り恵まれないので、全パ労連の親睦交流の毎年の催しは確かに有り難い事だと思う。
 例えば、今回同交流会で初めて知り合った秦しん泉寺せんじ清きよし氏(80)は、昨年12月24日付のニッケイ新聞で触れた(当地2017年度長寿会々報でも紹介)パラグァイの早稲わせ種しゅ大豆の普及に大いに寄与した戦後移住者の故秦しん泉寺せんじ貞光さだみつ氏の長男だが、席上筆者に近寄って「親父おやじの事を書いて貰って有難う」と余り知られない移住史の裏話について様々な感想を熱っぽく述べられた。
 これなどは、そのような機会に普段は思いも及ばぬ意外な事象に出会う一例に過ぎないが、大変感銘に値する事だと思う。
 最近ニッケイ新聞で連載が終わった深沢編集長執筆の県連移民の故郷巡りのタイトル『承前しょうぜん啓後けいご』は、平たく言えば「過去を忘れず未来を築く」と言う事だと思うが、パラグァイ日系社会も避けては通れぬ世代交代の時期に到っており、次世代に日本の文化・精神遺産を如何にベストな形で引き継いで行くかの悩みはブラジルの場合と共通する至上命題ではないかと、ツラツラと思いを馳せる昨今ではある。