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岩手地酒「南部美人」=来年からブラジル向け特別生産=南米で販路拡大目指す

蔵元の久慈さん

蔵元の久慈さん

 岩手の地酒・南部美人は2004年に一升瓶30本の輸出で始まったが、今や世界21カ国に年間数千本を卸している。今月26日に開催された岩手県人会創立60周年記念式典に出席した五代目蔵元・久慈浩介さんに、南米での販路拡大計画や、ブラジル向けに受注した日本酒造りなど、普及にかけた挑戦的な姿勢を取材した。
 現在、ブラジルで南部美人を取り扱っているのはサンパウロ市の飲食店を中心に50店以上。東日本震災後に出荷量がかなり落ちたが、近年は回復して右肩上がりに伸びている。
 南米ではブラジルのほか、ペルーでの販売シェア拡大を進めている。久慈さんは「ブラジルとペルーは日系社会を足がかりに日本酒が浸透し、現在は非日系人にも親しまれるようになった」話す。
 また、今後はアルゼンチン、チリ、ウルグアイでも販売を開始する計画だ。「ウルグアイは日系人が少なく肉を多く消費する国のためか、日本酒が一切輸入・販売されていない。将来的なシェア確保のための先行投資と位置づけ、まず1歩を踏み出したい」と意気込む。
 滞伯中、サンパウロ市モエマ区にある日本酒専門店「アデガ・デ・サケ」の飯田龍也アレシャンドレさん

南部美人の中でも最高峰、芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴の純米大吟醸

南部美人の中でも最高峰、芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴の純米大吟醸

と話すうち、ブラジル人向けの「南部美人」を受注生産することが決まった。飯田さんの要望を受け、ブラジル人の好みにあった日本酒2種類を醸造する。
 久慈さんは「日本でも受注生産は珍しい。酒づくりの工程を動画で配信するなどし、届くまでの間も楽しんでもらえるようにしたい」と話した。来年3月中に「アデガ・デ・サケ」の店頭に並ぶ予定だ。

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