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愛でる、愛しむ、愛しむ

 昔読んだ、老人ホームの人達と鹿の心温まる話を思い出させる記事に、最近出会った。一つは手術を受けて入院中の7歳児の回復を促すために雌馬を病院に連れてきた話で、もう一つは刑務所で服役中の女性達が、羊を飼う事で様々な変化を見せ始めたという話だ▼鹿の件は、老人ホームの人達が、繰り返し現れるようになった野生の鹿と触れ合う事で快活さや穏やかさを取り戻したというもの。鹿と接したりする内に、鹿が来ないと心配で落ち着かなくなったともいう。この点は、刑務所の女刑囚達も同様で、羊と接する内に愛情が生じ、心が明るくなった、気持ちが落ち着いてきたといった感想を漏らすようになる。「あの羊が元気がなかった」と案じ、管理責任者に尋ねた人がいて、羊の妊娠が判明したという話もある▼雌馬の件は、2度の手術を受けた少年が常に馬の話をしているので、病院関係者が馬を見せてやる事を提案。病院側も同意し、馬を連れてきたところ、大喜びで馬に乗り、駐車場内を歩いた後、父親に「レントゲンよりずっと良いし、楽しかった」と耳打ち。回復も早まった▼重度のうつ病で入院までした人が、孫誕生後、孫と接する事で症状が軽減。体力もつき、外出も頻繁に出来るようになったという例もある▼これらの話に共通するのは「愛着を感じて大切にする、かわいがる、いとおしむ」という事で、愛でる、愛しむといった言葉が思い出される。「惜しむ」という言葉に「愛しむ」の字を当てるのも同じ理由だ。周囲のものへの愛情が、心を開き、落ち着ける。人の心がすさんでいるといわれる中、触れあいや愛情の大切さを改めて思い出させてくれる記事だった。(み)

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