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応急手当の仕方~とっさの時にと戸惑わない~=連載(4)=気道確保が先決=異物の除去

健康広場

2006年4月5日(水)

 気道内異物の事故は、身近にいる人がすぐに対処しなければならない。窒息死するリスクがあるからだ。高齢者が餅を喉に詰まらせて死亡したというニュースが、日本で流れているのは周知のことだろう。
 喉に異物が詰まると、(1)話しかけても返答が出来ない(2)喉をつかむようなしぐさをする──といった症状が出るのが一般的。声が出せない場合や呼吸音が聞こえても、「ゴロゴロ」「ヒューヒュー」といった音がする場合は気道閉塞の恐れがある。
 また呼吸が停止した者に人工呼吸を行った時、抵抗が大きかったり、空気が入らない場合にも気道内に異物があると疑ってよい。
 口の中を覗いて詰まっている物が目で見えれば、手で取ることも可能だ。掃除機は避けた方が無難。吸引力が強すぎて、内臓を痛めてしまうためだ。
 どうしても必要とする時は、狭い所を掃除するための器具(アタッチメント)をつけたらよい。
 気道閉塞が疑われる時の応急手当は、救急に通報した上で、気道を確保すること。吐いた物がまた喉につまらないように頭を下の方にするか、寝かせているときは顔を横に向けた状態させる。異物を取り除くには次のような方法がある。
 (1)背部叩打法 
 ひざまづいて、傷病者を自分の方に向けて側臥位にする。手のひら(手の付け根に近い部分)で、肩甲骨の間を四~五回力強く連続して叩く。立っている時は、傷病者の頭をできるだけ低くして胸を一方の手で支え、他方の手で左右の肩甲骨の間を叩く。
 (2)ハイムリック法
 傷病者を座位にする。腕を後ろから抱えるようにする。片手で握りこぶしを作り、傷病者のみずおちのやや下方に当てる。その上をもう一方の手で握り、すばやく内上方に向かって圧迫するように押し上げる。
 このほか立位による方法や、傷病者の大腿部にまたがって行う仰臥位による方法もある。意識の無い場合や、妊婦、一歳未満の乳児には行わないこと。
 (3)胸部下部圧迫法
 傷病者を仰臥位または腹臥位にする。傷病者の下半身にまたがるか、または横にひざまづき、指を広げた手を側胸下部に置く。下部胸郭を下内方に強く引き絞るように瞬時に圧迫する。
 立っている時は、後ろから抱きかかえるような形で上腹部の前で手を組み、側胸部を瞬間的に強く引き絞る。側胸部だけ圧迫するのではなく、胴全体を引き絞るように圧迫を加える。
 (4)指交差法 
 ①親指と人差し指を交差させて親指を上の歯に、人差し指を下の歯に当て捻って口を開く。異物の様子を口の奥まで見る。口の中を見る場合は、傷病者の頭を動かさないようにする。入れ歯は、はずれそうになっていたら取り除く。 
 ②傷病者の顔を横に向ける。指にハンカチ・ガーゼ等を巻き付け、異物をかき出す。血液や唾液など液体の場合は、口の中をよく拭き取る。
 呼吸ができれば、自力で咳や呼吸をするよう努力させ、それを妨げないようにする。一つの方法だけにとらわれずに、いくつかの方法を組み合わせることも大切だ。

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