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「望羊」の年に期待

2003年1月1日(水)

 善良で従順。群になって暮らし、平和で幸福な生活を送るー。羊は穏やかな動物の象徴とされ、和合繁栄という熟語がぴったり合う。
 「法が無くても生きていける」とは、未年の人を指して言う言葉でもある。美男美女が多いのもこの年とか。
 ブラジルで羊毛用の羊は主に、リオ・グランデ・ド・スル州で飼われている。同州の原毛の生産高は年間、一万―一万二千トン。四十年前に比べて三分の一ほどに落ちた。最近は、合成繊維やナイロンに押され気味で、「羊毛ではないと高級でない」と言われた時代は、過ぎつつある。
 人間と羊の結びつきは古く、約一万年前の新石器時代に中央アジアで家畜として飼育されていたことに始まる。
 聖書に羊が多く登場することでも、人間との関係の深さを物語る。マタイ十八章二節の「迷える羊」は、多くの社会問題を抱えるブラジルの状態に重ねられる。
 今年は、ルーラ新政権が発足、変革への国民の期待が高まる。日系社会も移民九十五周年、戦後移住五十周年を迎え、いろいろと動きのある年になりそうだ。
 岩田信次・倉敷紡績元取締役は、随筆集を発刊するに当たり、「亡羊の嘆」をもじって、「望羊」と書名をつけた。未年の今年はまさに、羊に望みをかけたいところ。

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