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近代国語学を解説=鈴木教授、大学研究会で

4月1日(火)

 鈴木泰御茶ノ水女子大学文教育学部教授が十二日から十八日までブラジルに滞在、近代国語学に関する諸学説などについて、日本語・日本語教育会研究会(大学研究会)に手ほどきをした。また、サンパウロをはじめリオデジャネイロ、ポルトアレグレなどで一般向けに文化講演を行った。
 大学研究会は国際交流基金が主宰する。近代国語学の古典的著作を輪読、ポルトガル語による主要学説をまとめている。
 五カ年計画で今年が三回目。各学説とも輪読が完了、今後の整理などにつき、専門家として鈴木教授が招聘された。
 国際交流基金サンパウロ日本文化センターを会場にした講演会、「語彙比較から見た古典文学」は二十一日午後七時から、実施された。
 鈴木教授は万葉集、竹取物語、源氏物語など十四作品の語彙数を比較。類似点や相違点を挙げて、作品の特徴を解説した。
 万葉集では妻、子といった人間に関する用語が多いが古今集になると動植物名が増える。
 恋愛を扱った源氏物語は夜の時間帯を表す言葉が目立つ。一方、宮中の出来事を綴った枕草子に、朝晩は関係ない。「前者を夜型文学、後者を朝型文学」とした。
 [鈴木泰]一九四五年生まれ。専門は国語学。著書に漢字講座(8)、近代日本語と漢字(共著)がある。

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