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援協職員ら福祉研修旅行=ことしは北東伯2市へ=まだ発展途上だが=日系と比較して学ぶ

4月4日(金)

 国際協力事業団派遣の青年、シニアボランティア、サンパウロ日伯援護協会の職員など九人が三月二十四、五両日、サルバドール市(BA州)とレシフェ市(PB州)に福祉研修旅行に出掛け、両市内で老人ホームを視察した。日系コミュニティー以外の施設を見学、日系施設を相対化しようと国際協力事業団サンパウロ支所(小松雹玄支所長)が企画したもの。昨年に引き続き今年が二回目。いずれの地域も、高齢者は、家族が介護すべきとの意識が強い。高齢者福祉はまだ、発展途上。個人経営の老人ホームが主体になっている。福祉士の平野アリッセさん(前援協福祉部長)に成果を聞いた。
 日系老人ホームは、公立の施設に比べて、人材や設備が優れているとされる。だが、まだまだ改善すべき点はある。
 ほかの施設を視察することで、日系施設の維持、管理の参考にしようというのが旅行の趣旨。昨年はパラナ、サンタカタリーナ州にあるドイツ系老人ホームを訪れた。今年は北東部に向かった。
 視察先は、「LAR HOTEL PARA 3IDADE」(サルバドール市)と「GENTORO GERIATRIA E REPOUSO LIMITADO」(レシフェ市)。
 サルバドール市は、人口三百万人。半、要介護老人に対応できるよう設備の整った老人ホームは数施設のみだという。
 もちろん、市や州が維持、管理する施設もある。大部屋にお年寄りも寝かせているだけというような、居住環境は良好と言えない。
 視察先の選定は昨年十月ごろから始めた。直前になるまで、決まらなかった。
 「LAR HOTEL PARA 3IDADE」は、アナ・ラマーリョさんが創立したもの。娘で看護大学教授のダニエラさんが共同経営者。大学生が研修先として利用、人材は豊富だ。
 民家を改造した建物で、家庭的な雰囲気を出す。入居者はすべて、半介護、要介護者で一カ月の入居費は千五百レアルから二千八百レアル。
 ただ、ソファーなどに座っているだけの入居者が目立つ。残存機能を活かすよう、軽体操やレクリエーションを積極的に取り入れたらよいと、指摘もある。 「GENTORO GERIATRIA E REPOUSO LIMITADO」も老人医学の専門家が主宰する施設。レシフェの旧市街地に立地、居住空間内は清潔に保たれている。
 入居者は三十三人。もうそろそろ、受け入れは限界に達しているという。
 田村陽一郎JICAシニアボランティア業務調整は、「青年、シニアボランティアが成果を配属先に持ち帰り、今後の活動に活かしてほしい」と、話している。

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