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世界保健機関=WHO加盟果たしたい=台湾系共同体盛り上がる=新型肺炎対策、後れとらぬよう=ブラジル国内で署名運動

4月18日(金)

 第五十六回世界保健総会を来月に控え、台湾系コミュニティーが世界保健機関(WHO)への加盟に向けて盛り上がりを見せている。ブラジル国内全土で、署名運動を展開。集まった署名を上院、下院議員をはじめ、関係省庁に送っている。台湾の置かれた立場について、日系コミュニティーにも理解を求めている。
 台湾の保健実務官は世界の保健政策について、WHO主催の討議に出席不可能。WHOの技術部門とのパイプが中断されている。
 九八年に台湾で児童の腸内ウイルス感染が発見されたおり、WHO関連機関と正常な連携が取れず、情報が不足。病気の把握に影響が出た。
 新型肺炎のSARS(重症急性呼吸器症候群が現在、広がっている。WHOの調べで(今月九日)、台湾で十七人の感染者が報告された。
 政治的な要素から、世界の保健政策に遅れをとるのではないかとの懸念が高まりつつある。
 国内をはじめ、大使館や領事館に準じた公的な出先機関を持つ二十八カ国で、WHO加盟に向けて、一段と熱が増している。 
 ブラジルでは新年会、水泳大会などのコミュニティー内の各種行事で署名キャンペーンを実施。三千─四千人と言われる台湾系人口のうち約八百人が協力した。
 台湾系市議のウイリアム・ウー氏、ロジェー・リン氏も政界に働きかけている。
 このほか、中国系の医師グループでつくる巴西華人医師協会(徐治青会長)もキャンペーンに参加している。
 駐聖保羅台北經濟辧文化事處の何建功處長は、「パレスチナも赤十字も国家ではないのにオブザーバ─として、WHOに出席しているのに、どうして台湾は許されないのか」と、差別されていることに、不満を露にした。
 【台湾とWHO】中華民国とブラジルは四五年、サンフランシスコでの国連総会で、国際保健機関の創設を共同提案。四六年に国際保健会議が招集され、世界保健機関憲章が承認された。当憲章が四八年四月七日に国連加盟国の過半数の批准により発効され、世界保健機関(WHO)が正式に発足した。
 中華民国は成立当初から加盟国だったが、中華人民共和国の国連加盟により、七一年、議席は中国に取って代わられた。
 ホンジュラスなど一部の国は、「台湾をオブザーバーとして世界保健総会に招く」という提案をしている。未だ、認められていない。
 問い合わせ電話番号=0(XX11)3849・3645(巴西華人医師協会)。

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