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アルモニアが募金開始=百周年=「まずは自助努力が大切」=先陣切り役員が10万レ記帳=西村財団から土地寄贈=元寮生らにも呼びかけ

2006年12月22日付け

 百周年記念事業の一つ、アルモニア教育センター(和田忠義理事長)=サンベルナルド・ド・カンポ市=による新アルモニア日伯学園構想の資金集めが、いよいよ始まった。先週から元寮生ら約五百人に対して、メールや手紙で構想主旨を説明し寄付を募っている。日本政府からの資金援助が難しそうな雲行きから、箱物四事業は独自に集金せざるを得ない状況にある。そんな膠着状況を振り切るように、西村俊治さんにお願いして呼び水となる土地を寄贈してもらい、役員に奉加帳を回し、元寮生への募金に踏み切った。唯一、実現に向け、積極的な動きを始めた。
 「まずは自力で資金集めを始める姿勢が大事だと思う。自助努力をする姿を見せないと誰も手伝ってはくれない」。同構想を理論面から支えるサンパウロ人文研の宮尾進顧問は、いち早く募金をはじめた意義を高く評価する。
 今年九月頃、ポンペイアの西村俊治さんにアルモニア役員らがお願いに行くと、快くバルゼン・グランデの土地一万八千平米寄贈を申し出てくれた。地権は西村財団にあり、すでに裁判所から寄贈許可も下り、地権証も受け取った。十二万レアル以上の価値があり、早急に売りに出す予定。
 和田忠義理事長は「これを呼び水にしたい」と考えている。「すでに役員が先陣切って奉加帳に記帳を始めました」と意気込む。すでに十万レアル以上が集まっているという。
 先週には、元寮生ら約三千人や力行会関係者のうち連絡先のわかる約五百人に対し、スダメリス銀行に開設された専用口座への寄付振り込みをお願いする協力要請状を、手紙やメールで送付した。力行会の一世メンバーへの敬意から要請文は日本語でも作成した。
 元寮生の第一期生には現理事長の和田さん、元サンパウロ州高等裁判事の渡部和夫さん、元文協会長の山内淳さんらがいる。
 その後にも、小泉元首相の従兄弟にあたる井料堅治さん、モジ市でGM販売代理店グループの長尾オズワルドさん、和田さんの弟でノーボ・アチバイア病院を設立した和田周八郎さん、笹崎商工(マリリア)創業者の笹崎孝作さん子息など多様な人材がいる。
 一方、サンパウロ市にあるスペイン系ミゲル・セルバンテス校、ドイツ系ポルト・セグーロ校などを視察し、幼稚部と小学校部の入り口を別々にすると教育効果がより高いとの意見を取り入れ、今年一月に道路に面した隣地を買収。幼稚部専用の出入り口を拡張する計画が進んでいる。
 アルモニア教育センターの前身、サンパウロ学生寮の上棟式で、故佐藤常蔵さんは「新しいフロンティア精神を持ってブラジル社会に乗り出していけ」という演説をぶった。大浦文雄さんは「高い理想にあふれた演説に大変感動した」と昨日のことのように思いだし、「一世が二世に夢を託したものだった」と振り返る。
 宮尾さんは、父・厚さんの時代から同学生寮に関わってきた。さらに現副評議員長の破魔昂一郎さんの父親は、力行会会長だった破魔六郎さんだ。
 当然のこと、和田周一郎氏を父親に持つ和田忠義さんに至っては、孫二人がアルモニアに通うので四代にわたって関わっている。
 今年九月に創立五十三年を迎えた同センターは、コロニアの歴史を反映した施設といえよう。
 終戦後の混乱期、二世に夢を託すために建設された学生寮は、百周年を機に、二世が四世、五世に夢を託す施設として生まれ変わろうとしている。

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