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熱湯使う農法=害虫の駆除に成果=こだわる人、弓場農場の箕輪さん

4月24日(木)

 サンパウロ州ミランドポリス郡にある第一アリアンサ、その一角にある弓場農場で、果菜類を中心に有機農法に取り組んでいる箕輪畑助さんが、風呂の残り湯を活用して、畑の表面から約三十センチ下に熱湯を注ぎ込み、ネマトーダ(線虫)など害虫の駆除に成果を上げている。
 薬剤で駆除すれば比較的簡単なものを、あえて熱湯にこだわったのは、創立者・弓場勇が提唱した「土と共に生き、祈り、芸術する」理想にこだわったからだ、と本人は言う。
 土の熱湯処理は、サンパウロ市から約百六十キロの地点にあるオランダ系移住地オランブラ(Holambra)で、花卉栽培業者が広い面積の畑を熱湯で処理をしていることにヒントを得た。「熱湯で大事なネズミも少しは犠牲になったが、自然堆肥のボカシと鶏糞を入れたらまた増えてきたよ。おかげで、害虫が発生しないので、このトマトも元気に育っているので安心した」と、畑助さんは初めての試みの結果に胸をなでおろしていた。
 畑助さんは長野県出身の箕輪勤助・照子夫妻を親に持つ弓場農場生まれの二世だ。今年、還暦を迎えた。父親は、弓場勇の同志の一人として弓場農場の設立に関わってきた。去る二月二十九日、九十四歳で大往生し弓場の土となった。親の意志も忠実に受け継いでいる。
 弓場農場では、主食のコメも野菜も鶏卵も自給している。味噌も漬物も豆腐も納豆も食パンもメン類も七十余年の自給伝統を守っている。畑助さんは言う。「農業は難しい。満足することはほとんどないよ。毎回が緊張の連続だ。でも、やり甲斐があり、楽しいね」と。農業でも〃弓場哲学〃が生きているようだ。

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