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コラム 樹海


 オウム真理教の松本智津夫被告に検察陣は死刑を求刑した。犯罪史上最も凶悪な犯罪として地下鉄と松本サリン事件。坂本弁護士一家殺人などの三大事件を軸にした「教祖の犯罪」に対し厳しい論告を行い刑法では最も重い死刑の判決を要求した。一連の事件では二十七人もが死亡しサリン禍の後遺症に悩む人々は今も五千人とされる▼息子や娘が犠牲となった遺族たちは「死刑は当然」としているが、松本教祖は最後まで沈黙の被告を貫き通した。論告公判でも検察の話に耳を傾けるでもなく、大きく口を開けてのあくび。退屈そうに顔を上げて表情を歪めていたという。新らしい宗教を興し国家転覆をも考えた被告である。決して無口ではなかった筈だし弟子には一流大学を卒業した「知識人」も多い。こんな高学歴者をオウムに入団させるには宗教的で難解な説得もあったに違いない▼それにしても東京の地下鉄サリン事件ほど世を驚かせたものはない。一般の人々は「猛毒サリン」の名さえも知らなかった。それを乗客が乗り降りする駅舎で散布し大量殺戮をしたのである。ここまでくると、どんな宗教的な言辞をしても説得力はない。オウム公判が始まったのは平成八年四月二十四日▼以後、論告公判まで二百五十四回を数える。松本被告への死刑求刑についての感想について小泉首相は「長すぎる」と語ったが、確かに日本の裁判は判決が出るまでに時間がかかり過ぎる。この悪弊から脱するためにも「オウム裁判」の流れを参考としたい。   (遯)

03/04/26

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