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出稼ぎ1500人余調査 雇用安定センター=長期化、定住化進む=仕送りしていない36・3%

5月9日(金)

 (財)産業雇用安定センターは、平成十五年二月に「日系人就労等アンケート調査結果」を発表した。この調査は、同センターが平成十四年に日本各地で、日系人を対象に行ったもの。日系人雇用者に対して、在日日系人の実情を理解し、雇用管理の改善を目的とする。対象人数は、千五百七十八人(男性八百九十六人、女性六百四十五人)。ポ語圏千二百七人、ス語圏三百七十一人。
 [長期化]平成十四年の同調査を見ると、三年以上の滞在者が六六%、今回の調査では七八・五%。今回は項目が細分化され、七年以上十年未満二一・四%、十年以上二八・二%であることが明らかになった。
 [定住化]日本に今後住む希望は、五七・五%が「はい」と答えた。「はい」と答えた一五・七%が、「定住を望んでいる」と答え、五九%が「日本の生活に慣れた」からと答えた。配偶者や家族と暮らす日系人は六七・七%にのぼる。
 [仕送り]三六・三%が「仕送りしていない」と答えた。母国に送金するのではなく、日本で消費する日系人が増えている。一方で、三一・四%が五万円から二十万円の仕送りをしている。
[労働条件]派遣会社を通じて間接雇用される割合が六三・九%。間接雇用は、工場の生産調整の時期に解雇されることが多く、労働者に不利に働く場合が多い。労働契約四一・一%が「結んでいない」。日本は、慣習的に労働契約を口約束などで済ます場合も多い。しかし、日系人は高い割合を示す。
[解説]長期化、定住化傾向がさらに進んでいる。仕送りをしていない労働者も多く、日本で子供の教育費の他、家や車などに費やす場合もある。一方で、一二%前後の日系人が失業中(日本の完全失業率五・四%)と厳しい。労働条件は、従来通り間接雇用を中心にして、労働契約を結んでいない労働者が多く不安定な状態にある。旅行会社や日本側企業の直接雇用に頼らず、友人や親類縁者を通じて雇用されている日系人も多い。
 二宮正人国外就労者情報援護センタ―理事長は、「長期化」「定住化」が進んでいることに対して、「ビザは、三年で更新される。二回更新した後は、永住ビザを申請しているのではないだろうか」と、語った。

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