ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 北朝鮮による日本人拉致は非人道機的で悲惨な事件だ。基本的人権を踏みにじる許し難くも哀しい物語りでもある。そんな国民の声を一堂にした集会が東京国際フォーラムで開かれた。この集まりを企画した人々は会場を埋めるだけの市民が来場するだろうかと懸念したらしいが、開会が近づくにつれ長蛇の列の人気に驚いたそうだ▼会場は瞬く間に六千人の聴衆で満杯。場外には入場できなかった数千人がマイクから流れる会場からの討論に耳を傾けたというから凄い。二十四年ぶりに帰国した蓮池薫さんら拉致被害者五人が出席したのも話題になった。北朝鮮に残った被害者の家族を救出しようと支援する人々も被害者と共に「北朝鮮への怒り」をぶち上げたのもいい▼「拉致事件は決着した」と北朝鮮は頑な姿勢を崩していないが、解決したものは何一つない。死去したとされる被害者八人の死亡状況も曖昧。墓も流失したという。被害者のものとして北朝鮮が提供した遺骨は、全く別人のものと判明してもいる。日本政府は死亡情報に関して百五十項目の質問を突き付けているけれども、これに対する回答はいまだにない。被害者の子供や夫を北朝鮮に止め置く無神経さは理解不能と言っていい▼このような「国民大集会」に出席した東京の石原知事は「どうして経済制裁に踏み切らないのか」と述べると場内外は拍手の渦が巻き起こった。この熱気溢れる「大集会」の現場を是非とも北朝鮮の金正日総書記にお見せし「日本人の魂」を知って欲しい。(遯)

03/05/13

image_print