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W杯、応援に感謝=上野さん橋渡し=フェリポンの贈りもの=サイン入りセレソンのカミーザ=故高円宮と小泉首相に

5月17日(土)

 昨年行われた日韓共催のサッカー・ワールドカップで、ペンタ・カンペオンを達成したブラジル代表のフェリッペ・スコラリ監督(愛称・フェリポン)が試合後、日本国民の熱烈な応援に感謝、額に納めたサイン入りユニフォオームを、故・高円宮殿下と小泉純一郎首相に贈った。宮内庁は、個人からのプレゼントは受ける慣例がないと、一時、申し出を断り、ユニフォームは駐日ブラジル大使館で宙に浮いた状態になっていた。上野アントニオ・パラナ日伯商工会議所会頭(元連邦下院議員)がブラジル政府に働きかけ、約十一カ月後の今月十四日、無事に高円宮妃殿下に届けられた。
 昨年六月三十日。横浜国際スタジアムでワールド・カップ決勝戦、ブラジル対ドイツの試合が行われ、スタジアムを埋めつくした大観衆の興奮に包まれた。
 貴賓席には、日本サッカー協会名誉総裁の高円宮殿下と小泉首相の姿があった。二人とも、身を乗り出して応援するほどの熱狂ぶり。
 高円宮殿下は試合後、ブラジル代表に触れ、「我が日本代表にもフェリッペ監督のような偉大な監督が欲しい」と、仰せられた。
 同殿下のお言葉は、翌日の新聞紙上で報道され、フェリッペ元監督の耳にも入った。
 これに感激を受けた同元監督は、ブラジル代表に随行していた高橋祐幸トヨタカップ運営委員(サンパウロ市在住)に、日本国民に謝意を表したい、と相談。
 高橋氏は、ユニフォームに感謝のメッセージとサインを書いて額に納め高円宮殿下と小泉首相に寄贈したら良いのではないかと、提案した。
 が、その後、高円宮殿下が急逝された。高橋氏は、日本外務省の大臣秘書官に依頼。川口順子外務大臣を通じて、両者に額を渡した。
 小泉首相は額を受け取ったが、宮内庁は、いかなる人物、いかなる進物であっても個人からの献上を受ける慣例がないと、断った。
 その上で、二国間の公式ルートを通じて贈ってほしいこと、故・高円宮殿下の皇室喪が明ける百日後にしてほしいことを告げた。
 高橋氏は、上野会頭とともに、ブラジリアに赴き、セウソ・アモリン外相、アギネーロ・ケイロス・スポーツ相に面談。事情を説明したところ、皇室喪が明けた後に、政府が駐日ブラジル大使館に訓令を発令した。
 イヴァン・カンナブラヴァ大使が十四日、高円宮妃殿下に献上。妃殿下は、感謝のお言葉を述べられたという。
 十六日午前、高橋氏と来社した上野会頭は、「サッカーと通じて、日伯間の関係が深くなっていくだろう」と、喜んでいた。

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