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コラム 樹海


 本紙の「ぷらっさ」は読者の広場であり投稿者の顔触れは多彩だし、心打たれる文章も多い。先日の十九日には寺田賢水さんが「お茶」の題でこの国に茶栽培を導入した故・岡本寅造氏との想い出を記している。賢水さんはすでに卒寿に達するが弁舌は爽やか。若き日に夢を膨らませたハルピンの話も熱っぽい。恐らく。日本移民のビアジャンテとしては最長老の一人だろう▼イタニャエンの稲垣八重子さんの一文「冬の味関東炊き」も光る。普通は「関東煮」と記すけれども、八重子さんは「おらぶ」(叫ぶ)の言葉を使うなどほのぼのと楽しい。「おでん」は東京が本場であり大阪では「関東煮」となったのだろうが、八重子さんが大阪かの屋台で食べたのは一串が一銭が二銭であったそうだから戦前の話に違いない▼心の底まで温もる美味しさーと八重子さんは綴るが寒い夜の「おでん」はしっとりとした庶民の味である。肩肘張らずに気さくなのがいい。汁の味がしっかと染み込んだ大根をもって最高とする人もいればいやー焼き豆腐が一番と譲らない御仁もいる。東京だと茹で卵を魚肉をすり潰した物で包み油揚にした「バクダン」も忘れられない▼大阪では蛸も入るし牛の筋肉(俗にスジ)や鯨の白身(コロと称する)と賑々しい。我が編集局も今や大阪勢が増え芸州や出雲、因幡の国人が多くなってしまい西日本の味に押され気味ではあるけれども、我輩は東日本の伝統を守った「おでん」で貫きたい。ブラジルはきょう二十一日から「冬」ー。(遯) 

03/06/21

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