農地占拠に政府介入へ=MST攻勢に対処=農村不穏化で地主対決=入植に生産計画を
6月25日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】ルーラ大統領は二十三日、ジルセウ官房長官とドゥルシ総務長官に、頻繁に起こる農地占拠活動に歯止めをかけるように指令した。北ミナス州で農地占拠運動(MST)メンバーが、カピトン・エネアス農場をはじめ占拠攻勢の旗揚げ宣言を行った。MSTが農村に不穏な空気をかもしていることで大統領は七月、代表者らを呼んで会合を行う。
過激化しているMSTをはじめ各占拠活動のグループ代表に対し、政府は活動に直接介入することを通告した。官房長官と総務長官に、同活動に関する政府見解をまとめるよう指示した。政府から通告を受けたグループは、MSTのほかに全国農村労働者連盟(CONTAG)、農牧管理委員会(CPT)、統一中央労組農村部(CUT)など。
大統領は七月第二週、代表らと直接談判すると、大統領府が報告した。大統領は二十三日早朝、ロセット農地改革相に事情説明を求めた。続いて官房、総務、広報、財務各相と副大統領をアウボラーダ宮に招き、これまでの農地改革相の施策で意見を求めた。
農地改革相の手腕については、しばらく様子見とし、農地改革のために五十四億レアルを特別投入することを、政府は決めた。官房、総務両長官は、MSTと数度にわたり非公式折衝を持ち、政府との直接対決を極力回避してきたという。
農地の配布は政府の公約であり、農地解放運動の支援は政府公認のものであった。しかし、原則とする未利用地の農地解放は、不毛の地でありMSTも関心薄だ。政府の農地改革の目的は、農業生産の奨励と農産物輸出の拡大。不毛の地への入植は目的達成には無意味な公約だと、MSTが政策の矛盾を突いている。
政府は、MSTが勝手に入植希望地を物色して不法占拠を行い、政府に解放手続きを急がせようとするやり方は不要だと訴えた。ポンタル・デ・パラナパネーマの国道沿いに終結したMSTの大集団に、法務省は立ち退き命令を出した。
大統領府はMSTを配耕させることが目的ではなく、入植者が生産することが目的であるという。そのために生産できる条件を、完備する必要がある。入植者の半分はセスタ・バジカの配給で生活し、生産計画のめどは立っていない。農地改革は立派な計画ではあるが、農政不在の入植は単なるお荷物になっている。
一方、地主らの農業生産者連盟(SINAPRO)は二十三日、レキオン・パラナ州知事に対し逮捕状発行を申請した。マノエル・リバス郡のトレス・マリア農場を不法占拠しMSTを、当局が逮捕に赴いたのを同知事が阻止、農場に多大な損害を与えたと訴えた。さらにSINAPROは、パラナ州MSTの不法行為に、連邦政府の介入を要請した。