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日本料理向きのコメ!=カンピーナス農試が開発=寿司、美味くなる〝期待〟

7月3日(木)

 カンピーナス農事試験場(IAC)はこのほど、サンパウロ州の気候に適した日本料理専用米を開発した。専用米としての開発は初の試み。ブラジルで既に〝市民権〟を得ている「寿司」への導入など期待が寄せられている。六月二十四日付、フォーリャ紙が報じている。
 IACは一九九二年、専用米の開発に着手。大サンパウロ圏には約六百軒の日本料理店があり、サンパウロホテル・レストラン・バー等組合によると、ここ十五年間で四〇〇%の伸びを示しているという。
 開発された専用米と通常の普及米の基本的な違いはアミロース含有量にあり、同含有量が多ければ多いほどパサパサとした炊き上がりになる。「通常の米は約二五%だが、専用米はだいたい一八%」と同研究所員のエルネスト・アッジーニ氏はいう。
 同氏によると、新品種は普及米と栽培方法が似ており、一ヘクタール当たり約五トンの収穫が可能。サンパウロで日本料理用に栽培されている輸入品種に比べても収穫高が上回っている。輸入米は一ヘクタール当たり三、四トンという。
 消費者も、国際品質基準の米をより安価で購入できるようになるらしい。価格はまだ確定していないが、アッジーニ氏は「専用米は消費地域と同じ場所で、より高い収穫量で栽培できる。値は下がるはず」と断言している。
 新品種はIAC400と名付けられた。現在、育種中で生産者には来年から出回るもよう。IAC400を試作したいが、すでに水田に普及米を植えているサンパウロの生産者でも、種苗を変更するための余計な作業は必要ない。
 なお、東洋料理愛好家でレストランへの料理相談を手懸けるアレッサンドレ・シメス氏は、「米は寿司の材料として最も高価なものというわけではない」としている。ブラジル南部で作られている寿司用の国産米は一キロ当たり二、三レアルで、輸入米が五・五〇から八・〇〇レアルに対し割安。「国産米を使用すれば、にぎり一個分の米の価格は〇・〇二レアルほど。ネタの種類にもよるが、にぎり寿司一個は〇・〇六レアル」と分析、寿司が高いのは、「特別な技能で作られるから」としている。

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