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日本語能力試験、合格率は?―2級でがくんと落ちるーシニアの米田さんー29校810人対象に調査

7月17日(木)

 日本語能力試験(国際交流基金主催)の合格率や合格までにかかる年数はいったいどのくらい?JICA派遣のシニア・ボランティア、米田哲雄さんは任期中(二〇〇一年七月ー〇三年七月)に、派遣先のモジ・ダス・クルーゼス市を中心に二十九校八百十名の受験結果を調査、「学校の診断書・処方箋」と題してまとめた。
 「得意な分野、苦手な分野を知れば、各学校が生徒を指導する際の参考になる」というのが、きっかけ。主催者側が受験者の競争につながると、試験結果を公表していないだけに、日本語学校関係者の興味を引きそうだ。
 〇一年の場合、モジ、スザノ市周辺の能力試験四級受験者の合格率は八七%で、日本国外の平均(五一%)を大きく上回る。
 これが、三級になると、両者の差が一八ポイントに縮小。二級では三七%まで落ち込んで、日本国外の平均値と逆転、九ポイントの差をつけられている。一級は五五%と持ち直す。
 二級になると合格率が、がくんと落ちる。日本語を使用している家庭で育った子供の日本語能力が三級まで通じるということとみられる。
 年齢別にみると、八─十歳の四級受験者は合格が五人、不合格が九人で、不合格になる可能性が高い。年齢と共に合格率も上がる。
三級、二級になると、年齢との関係はあまりない。
 世代別では、やはり日系人が有利。四級を例に取ると、日系二、三、四世の合格率が八〇%以上なのに対して、混血が六〇%、非日系が三八%になっている。
 学習年数では、三─四年で七〇%が四級、五─六年で七五%が三級に受かる。 二級、一級はばらつきがある。これは、「現在の学校への通学年数」を基準にしているため。二級受験者で五年─十年学習した生徒は六割から七割が不合格になっている。
 米田さんは任期を終えるに当たって、「三級に受かったからといって、翌年すぐに、二級に合格するとは限らない。普通は二─三年の準備は必要だ。参加するのに意義があるといって、やみくもに、挑戦するのは間違い」と、学習者に適した傾向と対策を立てるよう助言した。