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コラム 樹海

 イラク特措法案がやっと成立した。戦後の復興支援のため自衛隊を派遣することを決める重要な法案なのに民主党と自由党を軸に共産、社民の野党が反対したために参院が混乱した。女性参議が机上に登り抗議するなど久方ぶりの国家風景を展開したけれども、アラブ諸国の新聞やブラジルでもトップの扱いという珍事を披露したのは如何なものか▼理解できないのは民主党の動きだ。衆議院の段階では採決にも応じているのにどうして参議院では国会にあるまじき半ば暴力行為に近い抗議となったのか。民主党には保守陣営に与する議員もいるが旧社会党の出身者が多い。このために安全保障や自衛隊の問題についての基本姿勢が一本化されてはいない。この欠陥を国会審議で暴露したと見ていい▼自衛隊の存在を認め日の丸を国旗とし、君が代を国歌と法的にしっかりと決めたのも社民党の村山富市首相である。だが、今もなお自衛隊には忸怩たる心を抱いている社民党系がいるとすれば、これはおかしい。非武装中立論や言葉での平和論だけではもはや通用しない。イラク支援のために軍隊を派遣している国はカナダ、スペイン、デンマーク、豪州、韓国、ポーランドなどだし日本も国際的な責務を果たすのは当然なことだ▼イラクがまだ危険なのは承知している。戦争終結の宣言の後も米兵が殺害されてもいる。勿論、自衛隊から犠牲者を出してはいけないが、ある程度の危険は覚悟で出陣するのが筋だし、今の日本に大切なのは遠いアラブに向かう自衛隊員たちに「頑張ってな」の励ましの言葉だ。(遯)

03/07/29

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