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初めての小委員会会議=文協改革の新局面=委員会統廃合も視野に=横の交流促進し活性化へ

9月11日(木)

 執行部と小委員会メンバーが意識統一会議―。九日午後七時過ぎから文協ビル小講堂で、異例の「第一回小委員長会議」が開かれた。上原幸啓会長以下、五人の副会長、各小委員会の代表たち約三十五人が出席。八月二十一日の理事会でも話しあわれた銀行口座統一問題や、来年度の事業計画、予算案の申請方法を抜本的に変更することも確認し、従来なかった各委員会同士の横の交流促進も図られた。委員会幹部に「文協改革をともに行う一員」という意識を浸透させる意味でも、開催の意義はあったようだ。

 上原幸啓文協会長はあいさつのなかで、現在文協が抱えている様々な問題を挙げ、「経営、法律、財政面については執行部にまかせ、本来の文協の役割である、文化事業は各委員会が責任持って推進してほしい」と役割分担を確認。
 これから日系社会の混血化が進むなか、「(文協が)日本文化をもってブラジル社会へ参画する立場から、委員会活動は最重要」と位置付け、出席した委員会代表者たちに奮起を促した。
 河内マサミツ会計担当理事が、昨年同期と比較した今年七月までの収支会計について説明。具体的な数字を挙げつつ「経費削減などにより、内容がわずかながらだが、好転している」と報告した。
 続けて、「現在三十以上ある各委員会名義の銀行口座を統合化することにより、会計の簡素化と透明化を図る」ことについて、理解を求めた。
 岩水マリオ専任理事が欠席のため、伝田英二副会長が代理で、来年度の小委員会の事業、予算計画について、説明を行った。
 今まで、次年度の事業、予算案の作成は、故安立仙一・前事務局長と委員会代表者が個別に話し合う形で行っていたが、そのやり方を完全に廃止することを報告。
 十月末までに各委員会が、事業・予算案を執行部に提出することを求め、修正作業を行ない、十二月にそれぞれの案を決定するという流れを説明しながら、「従来までは赤字予算が認められていた。しかし、これからはそういう委員会を文協は必要としない」と強く訴えた。
 文協会員の拡充を担当している樋口トモコ副会長は活性化を図るイベントなどの計画を発表し、「委員会内の非会員に対しては、会員になるよう働きかけをしてほしい」と呼びかけた。
 芸能委員会メンバーは、文協内に四つの音楽系の委員会があることを指摘。「それぞれの委員会の役割を確信しあい、統廃合も視野に入れた、お互い協力体勢作りも必要では」と提案した。
 なお、大原毅法務委員長は「SOCIEDADEという言葉には、新民法の解釈によれば、営利団体という意味合いもあるので、改称の可能性も検討する余地がある」との考えを明らかにした。
 最後に上原会長の呼びかけで、出席した全員の自己紹介や、所属委員会の活動発表などが、和やかな雰囲気のなかで行われた。

■記者の目■
これが現執行部流 新体制への第一歩

 この会議で報告した事項は、すでに理事会で決定しており、定款でもこのような会議は義務づけられていない。そこを、あえて小委員会メンバーに報告を行うことにより、従来なかった委員会同士の横のつながりを作り、幹部全員の意識統一を図り、改革意識を共有する意図も執行部側にはあったようだ。
 会計問題に関しては、経費の大幅な削減や、文協の預金を投資信託に移行することによって発生した、財務収益などで赤字を削減したことは、評価すべきといえる。
 四月の新体制誕生から五カ月目を迎えているが、執行部が会計問題に関与しているのは、七月に入ってからであるため、これからの経営手腕が注目されるところだろう。安立前事務局長に事務一般を全面的に頼っていた旧体制から、幹部全員が情報と意識を共有する集団合議制へ――。その最初の一歩とも言えそうな〃決起集会〃だった。(剛)

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