ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 日本ではコメ泥棒が大流行だそうな。世界一の発行部数を誇る「読売新聞」が一面に五段抜きの見出しで記事を報ずるのだから、事は重大と見ていい。会津のコシヒカリに米国産のコメを混ぜて売った福島県の業者がいたしコメ盗難は千葉を始め九州や中部と全国的に広がっている。我が列島もついに「泥棒天国」とは、まったく驚くしかない▼被害はコメだけに限らない。リンゴやメロンブドウに始まり神奈川県では葱までが盗まれているそうだから―お百姓さんも安心して眠ってはいられまい。コメ泥は昔からあったろうけれども、近ごろのは一トン、二トンの単位だから規模も大きい。恐らくは、売りさばくのに違いないが、コメ粒を一つ一つ検査するわけにもゆくまいし取締の警察もお手上げの格好らしい。果物や高級野菜にしても店に並べは生産地までは特定し難い▼今年に入ってから八月までの農作物の盗難は前年度比四八%も増えたというから、これはもう激増である。冷夏のためにコメの不作が伝えられるけれども、貯蔵米が余るほどにありコメが無くなる心配はひとかけらもない。無論、新米の価格がかなり高めにはなっている。不作の影響だろうけれども、これが盗難多発と結び付くのかどうか―真に難しい▼それにしても―「儲かる」という単純な理由だけでの窃盗は寂しすぎる。多分、こんなにコメや農作物が狙われるのは模倣犯らが「俺も」「俺も」と農場に駆けつけたのに相違ないが、こんな悪たれ連中が今の日本には増えているのだとしたら―これほどに怖いことはない。  (遯)

03/09/27

image_print