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【期待感膨らむエタノール輸出】=JBICが調査依頼?!=伯字紙またも過熱報道

10月25日(土)

 日本の環境省がこのたび植物などを原料としたアルコールの一種、バイオエタノール(E3)を普及させる具体的なモデル事業を発表したことを受け、ブラジル政府は日本へのエタノール輸出に期待感をさらに膨らませている。日本の動向を逐次伝えるメディアの報道も過熱気味で、なかには、国際協力銀行(JBIC)が原料となるサトウキビの生産拡大に関する調査をブラジル政府の関係当局に依頼している、といった誤解を含む内容もみられる。
 二十三日付けエスタード紙は八ページ立て「砂糖とアルコール特別版」を編集し、サトウキビ関連産業発展の可能性を論じ、「欧米・日本に販売することが現在の課題」とする記事を掲載した。
 また、十七日付フォーリャ・オンラインは「国内に新たなサトウキビ耕地を開拓するための調査が政府とJBICの要望から進められている」と伝えた。
 この報道について同銀行リオ支所は、本紙の取材に対して「具体的に依頼した事実はない」と否定した。
 日伯経済合同会議で対日エタノール輸出の可能性がクローズアップされてから、「当行が(関連事業やインフラ整備に)融資すると決まったかのような話がたびたび取り上げられるが、現在までに発表できる事業案はない」と明言。
 ただし、ブラジルのエタノールが日本の資源確保に繋がり、日系企業が輸入事業に参入した場合に限り、「融資は十分にあり得る」としている。
 日本の環境省が打ち出した計画では、年明けにも一部地域の給油所数ヵ所で改築工事に入り、来春からE3を販売。大阪府を手始めに北九州市、北海道などに順次広げていく予定で、全国のガソリン消費量の二、三%をE3でまかなうつもりという。
 フォーリャ・オンラインではこうした事情を伝えたうえで、日本では将来的に現在三%の混合率を一〇%まで引き上げる方針でいると示唆。「年間で十八億リットルのエタノールが必要となる」と試算している。
 続けて、ブラジル農務省の話として、「ブラジル産エタノールの輸入に備え、日本政府は搬送経路や貿易港などインフラ整備に投資する意向を固めている」などと報道。日本側もブラジルからの輸入に向けて積極的でいることを匂わせる内容になっている。

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