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コラム 樹海

 十一月三日は「文化の日」であり秋の叙勲が発表されるおめでたい日でもある。この秋から栄典制度が改革されて日本の勲章も大きく変わった。第一は勲一等や二等などの勲位と女性にだけ与えられていた宝冠章がなくなったし、男性専科だった「旭日章」が今回からは女性にも適用されるようになった▼秋の叙勲では旭日章最高の大綬章が扇千景・前国土交通相と赤松良子・元文相に贈られた。勿論、女性としては初めてのことであり、よろこばしい。勲章の改革は「官高民低」の弊を是正する声が高まったことから始まったのだが初めの頃の熱気はいつの間にか官僚らの主張に妨げられたのか「民高官低」とまではいかなかったようだ。叙勲者は四〇六八人ながら民間人は一六四八人。これでも過去最高なのだそうだが―▼自衛官と警察官を対象にした「危険業務従事者叙勲」が新しく設けられたのにも注目したい。尤も、自衛隊などからはクレームがつくかもしれないし、日本の勲章も始まったころは軍人が主たる対象であったし西郷従道元帥が民間出身者としては叙勲者の第一号であたったのも記憶されていい。それが戦後に叙勲が復活されてからも自衛官は疎外されてきた事実は否定できない▼陸将や空将、海将になっても「勲一等」の叙勲者はいないのも不思議といえば不思議な話であり、これは遠洋航海でブラジルを訪れた海上自衛隊の幹部からも耳にしたが、新しい叙勲制度でこの短所を補えるものかどうか。    (遯)

03/11/04

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