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「日本語のガイドなら私たちに任せて」=史料館でボランティア=知る会〝実力〟見せる=島内中南米局長の質問に=よどみなく説明

12月6日(土)

 [既報関連]リベルダーデ区サンジョアキン街の文協ビル七~九階の日本移民史料館(大井セーリア館長)。一九〇八年から現在まで、一世紀近くにおよぶ日本移民の歴史が一覧できる。同館でボランティア・ガイドを務める「ブラジルを知る会」(清水裕美代表)は日本企業の駐在員夫人らで構成される女性だけの団体。メンバーらの活躍ぶり、史料館の現状に密着した。
 会議のため来伯していた外務省中南米局の島内憲局長を迎えようと、四日午後二時半、史料館入口に清水代表、「ブラジルを知る会」メンバーの並木紋子さん、大野広美さん、仲口ひとみさん、飯塚泉さん、米国のハーバード大学人類学博士課程の米国日系二世、山下かすみさんが集まった。
 今回、ガイドを務めるのは清水代表。ほかのメンバー四人は将来、ガイドになるための研修として参加した。
 清水代表のガイドは日本から西回りでブラジルに辿り着いた初期移民、当時の植民地の様子、戦後移民、デカセギなどの社会問題など多岐にわたる内容。島内中南米局長から質問されても、よどみなく答えていた。また、解説の端々に冗談を交えるなど、来客の心を和ませた。メンバーたちは、清水代表のガイドを一言も漏らすまいと、懸命にメモをとっていた。
 清水代表は、「史料館は経費がかかり、〝文協のお荷物〟とまで言われている。でも、日本移民の歴史を残すためにも、史料館は文協の目玉商品にならなければいけないはず」と力説。「日本語のガイドなら、私たちに任せてください」と胸を張った。
 来年ガイドデビューする予定の大野さんは、研修を終え、「自分がわかっている以上のことは伝えられないけど、誠実に答えられるようになりたい」と抱負を述べた。
 ちなみに、今年の移民史料館の入館者数は十一月までで、のべ七千二百七十四人。決して多い数字とは言えず、また、全ての入館者が、五レアルの入館料を払っているわけではないという。経営維持に四苦八苦している史料館だが、今後、来場者に寄付を募る協力箱の設置を検討しており、史料館存続に向け必死。大井館長は、「一人でも多くの人に訪れて欲しい」と来場を呼びかけている。

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