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日本文化の伝承を考える(3)=文化という言葉

1月27日(火)

 ここで議論の内容を明確にするため文化という言葉は何を指して言うのか考えてみたい。生物学者による文化の説明として「人類は、あるところまでは生物として、すなわち身体のみの造りかえによって進化を続けてきたのだが、やがて身体の造りかえでは追いつかないところまで来た。そのとき幸いなことに大脳が大きくなり手が使えるようになっていて、身体の不備を補うために、それは単なる棒切れかも知れなかったけれど、たぶん狩猟用や身を守るための武器として、道具のようなもの使いはじめた。これが文化の起源と考えられる。」と記述してあるのを読んだことがある。これは後に記す「見える文化」の起源と考えられる。
 動物ではメスとオス,子供以上の集団を作らないものも多いが、個と個、個と集団、集団と集団の関係は本能によって支配されている。人類の場合、この本能に代わるものとして文化が発生してきた。人類に進化した初期の段階では、文化発展の歴史は本能の減退と親から子への学習の増加の歴史なのだろう。
 言語学者によれば、文化と称するものは「ある人間集団に特有の、親から子へ、祖先から子孫へと学習により伝承されていく、行動及び思考形式上の固有の型(構図) 」と規定している。つまり、この言語学者によれば、「文化とは、人間の行動を支配する諸原理の中から本能的で生得的なものを除いた残りの、学習性の強い社会的強制(慣習)の部分を指す概念」と説明している。これは「見えない文化」に含まれ、ここでは文化規範と呼ぶことにする。
 見える文化、見えない文化を含めて文化をとらえるとたいへん広い意味となり、衣・食・住、言語、教育、学問、芸術、スポーツ、宗教、習慣、などを含む人間の精神活動によって生じる全てを指すことになる。文化協会などの名前にCULTURA E ESPORTEと使われているのをみかける。文化=CULTURAとするなら、CULTURA E ESPORTEという場合の文化は狭い意味となり、たぶん言語・学問・芸術ぐらいを意味するのだろう。私がここで使っている文化という言葉は広い意味での文化である。
 日系社会における団体の新役員が就任の挨拶で、「日本の文化を普及したい」とか、「日本の精神を伝えたい」と述べているのを耳にする。この後につづく言葉を聞いていると、発言している本人が文化をどのように解釈しているの理解に苦しむことがある。ほとんどの場合、文化の一側面をとらえて日本文化と称している。(中谷哲昇カザロン・ド・シャ協会代表)

 

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